富士電機とデンソーがパワー半導体の生産で連携することがわかった。両社は合わせて2000億円以上かけて生産ラインを拡充し政府も近く、支援を決定する方針。EV(電気自動車)や再生可能エネルギー、電気のスイッチなどあらゆる電気の制御に欠かせない部品がパワー半導体。パワー半導体の生産で世界5位のシェアを誇る富士電機。主力の松本工場では太陽光や風力の発電機向けのパワー半導体を多く生産している。一方のデンソーはシェアでは富士電機より劣るが、トヨタグループの一員として自動車向けのパワー半導体の生産に力を入れている。富士電機とデンソーは共同でパワー半導体の生産量力を拡充し、効率性を高めながら安定供給につなげることで合意。総事業費は合わせて2000億円以上で経済産業省は、その3分の1を支援する方針。世界の生産トップはドイツのインフィニオン。日本勢はおよそ20%を占めているがその中に5社(三菱電機、富士電機、東芝、ルネサス、ローム)がひしめく過当競争状態。経産省は、各社の共同生産を支援することでパワー半導体業界の再編の呼び水にしたい思惑。去年12月にはパワー半導体大手の東芝とロームが共同で生産を拡充すると発表。経産省は1294億円の支援を決め、その後、両社は提携に向けて検討に入っている。今回は、その第2弾。富士電機とデンソーは省エネ性能の高い次世代パワー半導体の生産で連携するとみられるがデンソーの関係者は、富士電機とはあくまで連携、それ以上の予定はないと距離を置く。しかし、日本勢でパワー半導体のトップシェアを誇る三菱電機・漆間啓社長は「我々は(再編の)音頭を取っていきたい」と発言。再編をめぐるさらなる動きが熱を帯びそう。