医療の現場で進む最新の取り組み「PHR」を紹介。パーソナルヘルスレコードの略で個人の診療情報という意味でスマホやパソコンから患者自身が電子カルテにある情報を見ることができることになる仕組み。患者と病院双方にメリットがあると首都圏の医療機関で、このPHRの導入が進められている。川崎市の聖マリアンナ医科大学病院では去年から患者自身が電子カルテの一部をスマホで見ることができるアプリを導入した。薬の処方や、ほかの病院での受診履歴など、いつでもどこでも見ることができる。腰痛でこの病院の整形外科に通う栗田潔さんは病院の外でも検査の画像を見直すことができるのが便利だと話す。過去の検査画像を見てから通院するようになり医師とも密度の濃い診察を受けられるようになったと感じている。この病院ではこれまで院内のサーバーで情報を管理し医師など関係者だけが見られる形だった。PHRの導入にあたっては外部のクラウドサービスを活用することで患者個人のスマホに電子カルテの情報を共有、この病院以外の診療所などでも見ることが可能だ。また医師の記録も含めてカルテをすべて開示することで質の高い医療につなげようとしている病院もある。群馬大学医学部付属病院では院内にあるパソコンで入院患者が電子カルテを見られるようにした。自分が受けた治療の詳細を医師や看護師との細かなやり取りまで開示している。導入したきっかけは、10年前に発覚した一連の医療事故。腹くう鏡などの手術を受けた患者が相次いで亡くなった。外部の事故調査委員会はカルテの記述がずさんだったため検証がされず事故が繰り返されたと指摘。診療体制の不備が大きな社会問題となった。この病院の改革をけん引した1人、小松康宏が立て直すために必要と考えたのはカルテの共有だった。小松らが全職員に向けて作成した説明資料には患者との信頼関係を築くことを強調している。導入から5年、職員たちは患者にも分かりやすくカルテを書くようになり医療チームの意思疎通もよくなった。今年度は外来患者でもカルテ共有を開始する予定。導入にあたってはこちら、3つあるが、まずは導入にあたってシステムを整えるための初期投資がかかる。2つ目、アプリなどシステムの方式が今のところ、統一されておらず病院間での連携がうまくいかないケースがある。3つ目、情報流出があってはならず病院側も対応に苦慮している。今後、首都直下地震など災害時にも役立つことが期待される。
住所: 神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1
URL: https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/
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