選挙を所管する総務省に聞いたところ、”SNS上で立候補を装ったことのみをもって公職選挙法違反とは言えないのではないか”と回答があった。動画投稿サイト「YouTube」や旧ツイッターの「X」は、一定の閲覧数があると収益を得られる仕組みがある。デジタルと選挙に詳しい明治大学の湯浅墾道教授は、こうしたビジネスモデルを「アテンションエコノミー」と述べた。また「”立候補しました”と偽る人間が増えれば増えるほど、本当に立候補した人の情報がその分薄まっていく希釈化されていくという悪影響が出る」述べた。今回の都知事選は過去最多の56人が立候補しているが、公職選挙法にネットの選挙運動が規定されたのは10年以上前で、今回のような”なりすまし”の立候補など選挙を利用してネット上で収益を得るということまでは想定されていない。今回の都知事選では選挙ポスターをめぐっても全裸に近い女性の画像が掲示されるなど警視庁が警告を行ったというケースも相次いでいた。専門家は、”選挙のエンターテイメント化”の指摘をしている。公職選挙法が想定しない問題だとして、法律の見直しも含めて対応を検討する動きが各党でも出ている。選挙制度に詳しい日本大学法学部の安野修右専任講師によると、”投票が正しく反映されないおそれ”や”長期的に選挙・政治への信頼喪失”つながっていくと指摘している。事実かわからない情報は、安易に拡散しないことが大切だとしている。情報源が確かなものを元に判断していただきたいということだ。