今月、足立区役所で認知機能や体力を測定する無料のイベントが開かれた。そこで認知症のリスクを調べる新しいチェックプログラムが住民に提供された。最大の特徴は本人に加え家族の視点でも調べられること。スマートフォンやタブレットで13項目の質問に答えると認知症になるリスクが3段階で判定される。本人は家族と比べて症状を軽く回答する傾向があるため、誰が答えたかによって結果に違いを持たせている。区では来年度からチェックプログラムをLINEでも配信し幅広い年代に活用してもらう予定。本人の自覚症状が出る前、超早期に予兆を見つけ出そうという試みも始まっている。学習院大学の高島教授が開発したのがVR=バーチャルリアリティーを使った検査方法。検査では仮想空間内の広場にある3つの場所を移動していく。体の向きを変えながら黄色い旗と赤の旗を通過し目印がないスタート地点に正確に戻れるのか調べるもの。脳の中には空間の位置情報を把握する神経細胞があり、いわば車のカーナビのような機能を果たしている。病気の原因となるタンパク質はまずこの神経細胞に蓄積し機能を阻害する。タンパク質の蓄積はある程度進行しないとMRIなどでは診断することができない。しかし、この検査では本来のスタート地点と自分の感覚で戻った地点の誤差からタンパク質の蓄積を推定することができるという。この検査を働く世代への早期発見につなげようとする企業も出てきている。都内にあるIT企業。この日、VRゴーグルの検査を試していたのは30代から40代の従業員。会社ではこの検査方法を健康診断に導入することを検討している。