7月3日に公的年金保険の財政検証の結果が発表された。財政検証の理解が難しい理由は「所得代替率」と「モデル年金」にある。2004年の年金改革で日本の公的年金は保険料を固定した元で財政バランスがとれるように給付が自動的に調整されていく仕組みを導入。この時、給付水準に下限を設け法律の中に所得代替率が次の財政検証までに50%を切る場合には制度を見直すとした。所得代替率の定義も法律で決められている。結果を自分の年金に置き直す際には相当の注意が必要だが、財政検証のたびに誤解と混乱が生じていて、年金への将来不安が増すばかりだった。こうした背景があり、モデル年金を超えた試算を別途行う試みが徐々に進められてきた。今後、適応拡大や女性の社会進出がこれまでのトレンドで進む中、女性が厚生年金により多く加入していくことになる。公的年金は保険料を多く払えば年金給付も多くなる仕組みになっており、保険料を払うのは将来の自分のため。今回の財政検証は女性活躍を推進することと、子育て支援を充実させること、安定した年金制度を構築していくのは同じ方向を向いていることを明らかにしてくれた。