4月の基本給や残業代などを合わせた現金給与の総額は、29万6884円と、前の年の同じ月に比べて2.1%増加。このうち基本給などにあたる所定内給与はおよそ30年ぶりの高い伸び率となった。一方で、物価高騰の変動分を反映した実質賃金は0.7%減少。マイナスは25か月連続で、過去最長を更新した。千葉県印西市にある焼き肉店では円安などの影響で仕入れ値が上がっている一方、メニューの値上げはこれ以上は難しく、厳しい状況が続いている。そうした中でも運営会社では、配膳ロボットの導入やまとめて仕入れることで経費を削減し、ことしは賃上げを実施した。しかし、物価の上昇には追いついていないのが現状。そこで少しでも賃上げの不足分を補おうと、IT企業と共同開発したアプリ。客が飲食代金に応じてたまるポイントを、応援したい従業員にチップとして渡すことができ、その分は給料に上乗せされる。実質賃金はいつプラスに転じるのか。大和総研・シニアエコノミスト・神田慶司さんは春闘を受けた賃上げの結果がさらに反映されていくと、早ければ夏ごろにも実質賃金はプラスに転換していくと見ていると話す一方で「中小企業でどれくらいベースアップが進むか不透明感が強い。物価上昇が加速すればずれ込む」とコメント。