サスティナブルアート作家の吉田ときおさんは40歳の頃、地元のケーブルテレビで働く傍ら、趣味で絵を描いていた。絵を描き続けていく中で、吉田さんは道具として使っていた鉛筆そのものが気になりだし、すり減って短くなっていく鉛筆に愛着を持つようになった。捨てられない色鉛筆をもとに家や飛行機などのアート作品を制作。作品を作り続けていた吉田さんだが、4年前、十二指腸に腫瘍が見つかり手術をすることに。病院のベッドの上で、使うほどにすり減り短くなっていく色鉛筆と人の命に相通じるものを見出した。退院後に制作した作品は鉛筆の削り屑さえも新たな生命を得たように輝いていた。しかし、去年の夏、吉田さんの胃にがんがあることが発覚。手術を受ける不安の中で、吉田さんは今回の病でもまた何かアートへと生かせることがあるのではないかと期待していた。手術は無事成功。去年10月には石川県で手術後初の作品展を開催した。吉田さんは「ひょっとしたら僕は短くなった鉛筆の部分をいま生きているのかもしれない。まだまだ自分の人生ね、活用できるんじゃないか、生かせるんじゃないか、楽しめるんじゃないかなって」と語った。