輪島市で塗師屋をしている松本さんは創業113年の老舗の三代目。輪島塗の企画や販売を手掛けている。幼い子供が食べ方や食器の持ち方を自然と身につけることができるように開発した茶碗と箸のセットを開発したことも。以前は伝統的な作りの店舗兼住宅で暮らしていた。しかし去年の能登半島地震で全壊。家族は無事だったが、保管していた輪島塗が建物の下敷きに。18年前におきた地震でも被災したが今回ばかりは引退もよぎった。しかしボランティが松本さんの元を訪れて輪島塗を運び出してくれた。多くは壊れていたが、中には僅かな傷だけで済んだものもあり、このことが松本さんを奮い立たせた。再起の決意をかため、去年11月には同じ場所にギャラリー兼プレハブを設置。セットの一部が失われた商品が無駄にならないように割安で販売している。さらにかすかな傷がついてものは塗り直しで再生しようとしている。器についた傷を隠しつつ新たな魅力を加えた商品も。輪島塗りの技法や装飾は生まれ変わりつつある。