鳥取市でコメ作りをしているトゥリーアンドノーフ代表取締役・徳本修一。日本の食料自給率は1965年度の73%から2023年度には38%に低下している。食料自給率には輸出分も含まれるため国内で多く生産し輸出するほど自給率は上がる。徳本は自給率を上げるための特別な農法に取り組んでいるという。田んぼに水を張らない乾田でのコメ作り、種をまく前に土を耕さない不耕起栽培で田に種もみを直接まく直播きを行っている。この方法により、従来は必要だった苗づくり、田起こし、田植え、水の管理を行わず手間や人手を削減でき、大幅にコストを削減できる。コメ1kgを作るための生産費用は全国平均で約254円(農林水産省HP)だが、徳本が行う農法では100円以下に抑えることができる。また労働時間は全国平均約21.6時間から約4.5時間に削減できる。乾田での栽培について徳本は「“菌根菌”を使って水を入れずに収量をとる栽培方法に挑戦している。“菌根菌”とは植物の根に共生する菌の一種。菌根菌が稲の根に感染すると地中に菌糸を伸ばし、稲は従来よりも多くの水分と養分を吸収することができる。そのため田に水を張らなくても成長できるようになる。農林水産省は、菌根菌を使った超低コスト米の輸出を実現するため、今年2月に官民タスクフォースを発足した。トゥリーアンドノーフ代表取締役・徳本修一もチームのメンバーとして試験的に菌根菌を使った輸出用コメを作っている。将来的には年間500万トンの輸出を目指しているという。元「超低コスト低メタン輸出米」官民タスクフォース・浅野大介石川県副知事は「世界のコメは足りなくなっていく。人口が伸びていく国でコメが食べられている。コメの需要が上がっていくので日本が見合うコストで出せるなら十分チャンスはあると思う。コメを輸出できる余力があれば国内の供給量が危なくなったときに国内に回せる」と話す。徳本は「農家の高齢化や耕作放棄地の増加が危機のように言われているが、現場の目線では逆で我々にとってチャンスが訪れている。高齢の農家が辞める一方で田んぼという資産がどんどん流動し始めている。昔ではできなかった大規模経営が日本でも実現可能になってきた」という。