中村竜太郎氏は「週刊文春がスクープを連発する一方、世に出すには相当な厳しさがある」と振り返る。ネタ元との関係構築、張り込み、直撃、記事の執筆とやることは山のようにあり、駆け出し時代は「明日こそ、『仕事辞めます』と言おう」と思っていたという。ある大手企業の不正を取材していた際、新宿二丁目の古い雑居ビルで情報提供者Xと会うことになった。指定された部屋に到着すると、目つきの鋭い男が応対した。中村氏は招かれざる客と考え、雑談もすることなく、1時間が経過。上述した男はおもむろに世間話をし始め、飾ってあった日本刀を抜刀し、素振りを始めたという。中村氏は「これ以上取材するな」という意思だと受け取り、雑居ビルを後にしたという。