能登半島地震では石川県輪島市の伝統工芸輪島塗も多くの工房が被害を受けた。そうした中、倒壊した建物から無傷で見つかった輪島塗のチェロとバイオリンを使った演奏会が行われた。輪島塗職人の八井汎親さんは70年漆器を作り続けてきた。現在は仮設の工房で同じ輪島塗の息子、貴啓さんと一緒に修復できる漆器を探す作業を続けている。地震から1か月経った頃、バイオリンやチェロなど7本あった楽器のうち4本が無事見つかった。県内で開かれる音楽祭の関係者が楽器のことを聞きつけ、被災者たちを元気づけようと演奏会を企画した。演奏するのはプロの演奏家たち。輪島高校の入学式で被災後初の演奏が行われることになった。八井さんも避難所から会場に駆け付けた。八井さんが製作した楽器は米国のボストン美術館に収蔵されるなど国際的にも評価されている。