養老孟司さん87歳。7歳の時、生まれ育った鎌倉で終戦を迎えた。しょっちゅう空襲で起こされた。眠い目こすりながら防空壕へ入った。鎌倉は昔から穴がある、そこを防空壕にして近所の人と一緒に入っていた。一番戦争関連で覚えているのは戦中戦後の食糧難だと話した。養老さんは戦争を体験していない世代に戦争の体験をことばで伝えることに難しさを感じてきた。数多くの講演会や執筆をしてきた養老さんが発した意外な言葉。「ことばでは現実が伝わらない」。そう感じた原点は80年前にあるという。当時唱えられていた1億玉砕や、本土決戦というスローガン。それが終戦を境に誰も口にしなかったことに大きな違和感を感じたという。2000年代情報化社会となった日本でベストセラーになった著書「バカの壁」。言葉だけでわかったつもりになる危うさを指摘していた。子どもたちと触れ合う活動に力をいれてきた養老さん。自分の目で見て体験することが何よりも大事だと伝えている。SNSなどで無数の情報があふれる今、養老さんはことばが先行し、体験が置き去りにされる現状を危惧している。養老さんはことばとか情報で伝えられるものと伝えられない背景がある、そこの想像力が”ことば”を聞く方にあるかという問題などと話した。