北海道・新得町にある大規模農場の若杉さんは牛舎で牛を飼う現在の経営を維持しながら、来年から輸入飼料に頼らない放牧酪農にも挑戦しようと考えている。広大な土地が必要となり、その多くは小規模で行われている。若杉さんは仲間と一緒に放牧を行っている小田牧場を訪れた。この牧場で1頭あたりに与える配合飼料は若杉さんの牧場の半分ほど。生乳生産量は3割ほど減るが飼料高騰の影響は限定的で利益は確保できている。去年できた日本メイズ生産者協会の代表を務めている北海道の農家、柳原さんのもとには酪農家や畜産農家から注文が殺到している。コメ農家だった柳原さんは国の減反政策のもとコメの生産を減らし大豆や小麦にシフトしてきたが、同じ畑で大豆と小麦を1年おきに作ると病気や害虫が増える連作障害が発生し収穫量も減少した。そこで11年前土壌を改良する効果があるトウモロコシに着目し、トウモロコシ、大豆、小麦を順番に植えると連作障害がなくなり収穫量も増えた。飼料用トウモロコシを作る取り組みは全国に広がり始めている。青森・七戸町では年々増える耕作放棄地をトウモロコシの栽培に生かせないかと考えた。種を植えたあと収穫までコメと比べ手間がかからないため関心を持つ人が増えている。現在国内で生産している飼料用トウモロコシは日本が輸入する量の0.1%以下にとどまっている。柳原さんは耕作放棄地を活用し、日本の需要の10%を目標にしている。専門家は畜産や稲作などあらゆる分野が連携し農地の活用を考えていくことが食料安全保障を確保するカギだと指摘している。