関東大震災で被災した東京の盆栽職人が移り住んだことが始まりでその伝統を20代の若さで受け継いだ盆栽園主がこの冬、誕生した。盆栽の聖地として愛好家が集まる大宮盆栽村。この地にある大宮盆栽美術館は、海外の観光客がこぞって訪れる観光スポット。盆栽師の廣田敢太さんはいま、大宮盆栽村に新しい風を吹き込んでいる。しかし最初から盆栽に興味があったわけではなかった。高校は服飾デザイン科に進むが、中退。自分が何をしたいのか迷う時期があった。周囲の勧めで親戚の盆栽園を手伝うことになりそのおもしろさに気付いた。2代目園主はそんな廣田さんに盆栽の奥深さを教え込んだ。2代目は子どもたちに盆栽の魅力を伝えることも大切にしてきた。盆栽が息づくまちを絶やさないよう活動する2代目の姿を廣田さんは見てきた。ところが「この盆栽園を畳んでマンションで暮らす」と驚くことを告げられた。これを境に盆栽園を存続させるにはどうしたらいいか考えるようになった。この冬、3代目の園主となった廣田さんはさまざまなメディアに積極的に出演。新たなファンの獲得をねらっている。そして今、直面しているのが盆栽園を存続させるための資金確保。住みやすいまちとしてさいたま市では地価が上がり盆栽園の固定資産税が上がっている。このため、さらに収益を上げる必要がある。そこで力を入れているのが盆栽の貸し出しサービス。飲食店などで盆栽を月数万円から貸し出し手入れや入れ替えも行う。安定した収入が見込めるうえ盆栽ファンを増やすことにもつながると期待している。盆栽ファンを増やしながら今後の収益も確保する。この大宮の地で盆栽園を存続させる、その決意を新たにしている。あすは盆栽の名品が展示されているさいたま市の大宮盆栽美術館が今月21日にリニューアルオープンするのを前に新しくなったその姿を中継で伝える。