経営統合に向けて協議を進める方針で今日にも発表する見通しのホンダと日産。巨額の投資が必要なEV、電気自動車の開発などで競争力を高めるのが狙いとみられている。その決断の裏には台湾の電子機器メーカー鴻海の動きがあったと日産を25年以上取材する経済ジャーナリストの井上久男さんは言う。井上「日産の買収を狙っているけれども理解してもらえるかという打診を今年の秋ぐらいからし始めた。その状況を日産が察知して経営統合交渉に向けてその動きを早めたと」。iPhoneの受託生産で成長した鴻海は2019年、次の柱としてEV事業への参入を表明。鴻海の子会社のシャープは9月、開発中のEVを初公開している。実は、鴻海でEV事業を担うのは、日産の元ナンバー3の関潤氏。エンジンの生産技術部門などを中心に歩んだ生粋の技術者ながら中国事業の責任者を務めるなど経営にも強く自動車産業のプロ経営者と称されている。井上「自動車って幅広い技術が融合してできている製品。鴻海にとってみれば足りない技術もまだあると見ている。そうしたときに自社の新たな成長戦略であるEV事業を強化しようと思えばどこか自動車メーカーを買収した方がそれが早く軌道に乗るのではないかと」。台湾の中央通信によると鴻海は日産の買収を諦めておらずフランスに派遣された関氏が日産の筆頭株主であるルノーと日産株の売却について協議しているという。井上「今自動車産業が100年に一度と言われるほど産業構造が大きく変わろうとしている。今一時的にEVは後退しているけれども将来的にはEV比率が増えてくると。一言で言うなら車のスマートフォン化が加速している」。