去年日本の輸出現場を揺さぶったトランプ関税。知られざる船上の仕事・生活に密着した。11月上旬、山口県を出発した商船三井の自動車船TURQUOISE ACE。約5000台の車を運搬する。積み荷の車を次々と並べていくのはギャングと呼ばれる船積みのプロ集団。1台でも多く乗せるためにサイドミラーは閉じたまま。笛などの合図や感覚を頼りに1発で駐車位置に収める。周囲の状況をレーダーや目視で確認、24時間体制で進む方向や速さを判断する。船員のモチベーションを支えるのは1日3食、肉・魚・麺類など献立は多彩。最新のゲーム機やプールなどの娯楽も完備。髪が伸びたら船員同士で散髪する。自動車船は12階建てでいわば動く立体駐車場、そうだしや生活空間は上に、エンジンルームは下に位置している。船の心臓部は巨大なエンジンに燃料のLNGがつまったタンク。機関士にとって大変なのは40℃近くになるエンジンルームの暑さ。普段過ごす部屋は冷蔵庫・ソファ・デスク・収納がありベッドやクローゼット、トイレとシャワーも完備されている。フィリピン沖で台風に遭遇、すぐさま車を固定するラッシングベルトを確認する。車5000台は単純計算で総額100億円以上、1台ずつ入念にチェックしていく。日本を発って約2週間、寄港地であるシンガポールに到着。シンガポールではトランプ関税の影響で第三国を経由する迂回輸出が増加、積み降ろしや燃料補給を待つ船の渋滞が起きていた。乗組員の一部はここで交代。船は今日ベルギーのアントワープ港に到着した。年明け早々ベネズエラをめぐる情勢など変動する地政学リスクなど世界情勢に翻弄されつつ日本の輸出は続く。
