新年度予算案に盛り込まれた、高校の授業料無償化。教育現場では早くも無償化を見越した動きが出ている。横浜市にある学習塾。今、保護者からの相談で目立っているのが子どもの進路先の高校について、公立よりも私立を選ぶ動き。私立人気の動きは中学受験にも広がっている。都内の大手学習塾。これまで特に都立の中高一貫校などの受験対策を得意としてきたが、私立中学への受験を希望する声が増えたことを受け、私立の受験対策を大きく強化している。国に先行する形で高校授業料の無償化を進めてきた大阪府では今、定員割れする公立高校が相次ぐ事態となっている。ことしの一般入試でも、128校のうち半数以上の65校で定員割れした。泉鳥取高校(大阪・阪南)は3年連続で定員割れが続き、今月で閉校することになった。市内唯一の公立高校として、地元密着の教育に力を入れてきたこの高校。生徒たちは地域の防犯活動に加え、幼稚園の保育ボランティア、災害ボランティアなど地域に積極的に出て活動してきた。また、教員たちも入学志願者を増やそうと自ら中学校に出向き高校の魅力をPRするイベントも実施したが、予算や人員など限りがある中で限界もあった。専門家は、高校授業料の無償化が及ぼすさまざまな影響について、今後も政府が検証していく必要性があると指摘する。