政府は昨年度から5年間の防衛費の総額を前の中期防衛力整備計画のおよそ1.6倍の43兆円程度と定めていて、会計検査院はきのう提出した昨年度の決算検査報告書の中で急速に増えた防衛費への円安の影響の試算を明らかにした。それによると昨年度支払った米国製の装備品などの調達費は57億8692万ドルだった。支払時のレートで計算すると7928億円余りで契約時に財務省が決めたレートより1ドル当たり30円程度円安が進んだため1239億円余り負担が増えていた。今回、会計検査院は初めて防衛費全体を検査し後年度負担の増加によって防衛予算の硬直化につながるおそれがあると指摘した。戦闘機などの防衛装備品は複数年に分割して支払うことが多くなり会計法の上限の2倍の最大10年までの分割が特別に認められている。1年間に新たに生じた後年度負担は年間2兆円ほどだったが昨年度は調達額の増加に伴って3倍の6兆8000億円余りに膨れ上がっていた。防衛省は防衛費は総額が決まっており後年度負担が際限なく増えていくことはないとしている。