今、脱炭素スキルを持った人材は転職市場でもニーズが高まっている。求められるスキルは多岐に渡る。CO2排出量を見える化するスキルだけでなく、国内外の法的な規制を分析する、CO2の排出をできるだけ抑えた商品を開発する、自社の脱炭素の取り組みを投資家に説明するといったスキルも求められている。こうした求人の数は2016年ごろから徐々に伸び始め、この会社では6年間でおよそ6倍に急増している。脱炭素スキルを持った人材を生かし、新しいビジネスにつなげようという動きも出ている。都内の大手銀行では、脱炭素スキルを持った人材を外部から積極的に採用している。転職してきた鈴木洋介さんは、以前は自動車部品メーカーで脱炭素につながる蓄電池の研究・開発を10年近く行ってきた。鈴木さんは今、神奈川県愛川町の部品製造メーカーと共同で新規事業を進めている。開発しているのは小型の電池を組み合わせることで電気自動車や太陽光発電など様々な用途で使える新しいタイプの蓄電池。これまで銀行はメーカーに対して融資などを行うだけだった。しかし蓄電池の専門知識を持つ鈴木さんはメーカーと共同で、今、市場に求められている蓄電池を開発。さらに金融のスキルを生かし、リースや信託といった手法を使うことで新たな市場にまで販路を拡大させようとしている。この銀行では、脱炭素という目標に貢献し、ビジネスを拡大するために脱炭素スキルを持った人材の採用を加速させていきたいとしている。