インドで日本酒の市場開拓を目指す動きが始まっている。ただ壁もあるよう。14億人を超えるインドでは、8割近くがヒンドゥー教徒で、宗教文化的理由で飲酒の習慣が一般的ではなかったが、JETRO(日本貿易振興機構)によると近年では中間層の拡大や食文化の多様化に伴い、酒類の消費傾向に変化がある。英国の会社が行ったアルコール飲料の市場調査では、2022年にはインドのアルコール消費量は世界第9位で、世界有数のアルコール消費国となっている。一方で普及には壁があるよう。1つ目は飲酒に対する規制が厳しい面。インド・モディ首相の出身地であるグジャラート州などは禁酒法が制定され、公共の場で飲酒することを一切禁止するドライステート(禁酒州)となっている。2つ目はインドに輸入されるアルコール飲料は、関税の対象。税率はビールが100%そのほかのアルコール飲料は150%。江戸時代に創業した福岡・八女市にある酒蔵「高橋商店」ではインドで日本酒を広めるため、2月に首都ニューデリーに現地法人を設立。酒販ライセンスの取得手続きを進めている。高橋商店・中川社長によると「インドでは日本酒はほとんど知られていない」といい、「現地生産を視野に関税分を下げて壁をクリアし手ごろな価格で飲んでもらい日本酒の文化的な価値を認めてもらいたい」という。