中国軍はきょう、台湾の周辺で軍事演習を開始したと発表。中国外務省・汪文斌報道官は「(軍事演習は)国際法や慣例に一致しており、正当かつ必要なこと」と述べた。軍事演習はあすまでの2日間、「陸海空軍とロケット軍などがパトロールを行うほか、合同で作戦の実行能力を検証する」としている。軍事演習を行う範囲だとして中国軍が発表した地図は、台湾本島を取り囲むような5つの海域に加えて、中国大陸に近接する台湾の離島・金門島や馬祖島などの周辺もある。中国が軍事的圧力を強めた背景にあるのが3日前の台湾・頼清徳総統の就任式での演説。頼総統が「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しない」と述べ、「台湾は中国の一部」とする中国の主張を否定したことに対し中国側は反発。汪報道官は「台湾独立分離勢力に対する強力な懲罰」と述べた。中国国営の中央テレビは軍事演習のねらいについて「軍直属の国防大学の専門家の分析を伝えた。台湾南部での演習について「“高雄港”を封鎖。貿易に損害を与える意味合いを持つ」とし、太平洋に面した東部周辺での演習については「米国とその同盟国が台湾独立勢力を援助する支援ラインを阻止する」とした。中国中央テレビの映像。台湾を取り囲むような中国軍の軍事演習は、おととし8月にも行われた。当時の米国・ペロシ下院議長が台湾を訪問したことへの対抗措置だった。この演習は当初の日程から延長され7日間にわたって続いた。今回の軍事演習、中国側の真意はなんなのか、笹川平和財団・小原凡司上席フェローは「実弾を打つことは少なくとも表向き、想定していないのではないか。中国としては台湾に対する懲罰は必ず見せなければならないということと、台湾だけでなく、米国とその同盟国、日本との緊張を過度に高めたくないという思惑もあるように見受けられる」と述べた。CCTV提供、中国・習近平国家主席の映像。一方の台湾側。台湾国防部は記者会見で、台湾周辺の海域では中国海軍の艦艇15隻に加えて中国海警局の船16隻が。台湾周辺の空域では、中国軍の航空機延べ42機の活動を確認したと明らかにした。台湾総統府・報道官は「中国が一方的な軍事挑発で、台湾の民主主義と自由、地域の平和と安定を脅かすのは遺憾だ」と述べた。事前に予定されていた軍の部隊の視察をした頼清徳総統は「外からの挑戦と脅威に直面しながらも、自由と民主主義の勝ち、地域の平和と安定を守り続ける」と述べた。台湾・台北、桃園、Taiwan Presidential Office提供の映像。