ホンダと日産が経営統合に向けた協議を始めた背景にあるのは、EV、自動運転などの開発競争の激化。開発で先行する中国の無人運転の街を取材した。ホンダと日産が経営統合協議を巡り、世界大手企業の動きも慌ただしくなっている。台湾・中央通信によると当初、日産の買収を検討していた台湾の電子機器メーカー・ホンハイが、日産に直接株式取得を打診したものの同意が得られず、かつて日産のナンバー3、現在ホンハイのEV電気自動車事業の責任者をフランスに派遣。日産の筆頭株主であるルノーと、買い取りを巡る交渉を開始したと報じた。一方、日産とホンダは持ち株会社を設立し、傘下に両社が入ることを含めた経営統合に向けて協議を進める方針だが、専門家によると予断を許さない状況。自動車アナリスト・中西孝樹氏は「日産は非常に業績が傾いている。そのため9000人の人員削減、100万台の能力削減などを実行していかなければならない。その実行が本当に出来るかどうかも含め、まだまだ不透明な要素はあると思う。ホンダの内部でも経営が傾いている日産との連携に反対する意見は存在している」とコメント。ホンダと日産の経営統合が仮に実現すると、日産が筆頭株主の三菱自動車を加えた3社の販売台数の合計は800万台となり、世界の3位となる。1位と3位を日本勢が席巻することになる。しかしEV(電気自動車)の販売台数に限ると、米国・テスラ、中国・BYDが世界のトップと2位で、日本メーカーはトップ5に入っていないのが実情。自動車アナリスト・中西孝樹氏は「いわゆる伝統的な自動車メーカー、さらに負担が上がっているということで、二重投資をより軽くしないと将来の技術に投資してもそこまで果たして生き残っていられるのか、こういう危機意識がある」とコメント。EVの技術で世界を先行している中国では、自動運転の実用化も国を挙げて進めている。自動運転の実験区となっている北京市東南部の亦庄では、すでに無人タクシーや荷物配達車が実用化。さらに無人パトカーによるパトロールも行われている。現在では自動運転実証の世界的中心地となっている。自動車アナリスト・中西孝樹氏は「自動車というものが半導体、ソフトウェア、電池などがコアな技術になり、自動車の提供していく価値は単なる移動ではなく、様々な価値に拡大していく。スマホのようなサービス志向の製品に皮っていっている」とコメント。自動車業界は現在、100年に1度とも言われる変革期を迎えている。メーカーが生き残っていくためには、EVや自動運転など新たな技術で力を伸ばすことが急務となっている。