鈴木砂羽のルーツを辿った。砂羽のことをいつも気にかけていた父方の祖母・郁子。そんな郁子のルーツは静岡・周智郡森町にあった。砂羽の4代前の高祖父・藤吉は茶商として財を成した。その藤吉の長男として生まれたのが貞三。郁子が多大な影響を受けた人物。貞三は澱粉から糖を作る工場の事業などで成功を収めた。ところが、大正9年5月26日 23時10分、轟然たる一大音響と共にボイラーが爆発。幸い貞三はいなかったが、作業員に多数の死傷者を出す大惨事。会社は解散した。その後、郁子が生まれて奮起した貞三は、大阪に移り、お茶の事業を始めている。昭和17年、貞三は享年54でこの世を去った。その3年後、大阪大空襲に見舞われ、自宅が跡形もなく焼け落ちた。そして、郁子が疎開したのが静岡・周智郡森町。この地で出会ったのが、奇跡の生還を果たした貞夫だった。郁子は貞夫に「画家になる夢を諦めるな」と発破をかけていたという。