今回の東京都知事選挙はSNSの活用がこれまでにない広がりを見せた。その背景には何があるのか。報道局・伏見周祐記者は「背景の一つには、今回の選挙の有権者の数の多さが挙げられる。東京都知事選の有権者は1100人余。1人を選ぶ選挙で見た場合、日本では最大の選挙。有権者に占める若年層の割合、無党派層の割合も地方に比べると相対的に高くなる。それだけ、SNSを使って情報を入手したり行動に結び付ける方も多いだろうと予想される。そうすると、候補者、支援者だけではなく、第三者が収益目的で動画を拡散させるという意味でもメリットが大きい選挙といえる。日本の政治や選挙に詳しい専門家も、SNSによる社会への影響を懸念している」と解説した。法政大学大学院・白鳥浩教授は「自分とは違う意見を許容できない。諸外国と同様、社会の分断がSNS、動画配信によって起こる可能性がある」と話す。伏見記者は「ネット選挙は解禁されてからおよそ10年がたった。当時はホームページ、電子メールが主な議論の対象で、今回のようなSNSを使った動画の拡散や収益を目的とした第三者による拡散は当然想定してなかった。そう考えると、今、SNSはかなり自由に使われてるのが現状で、戸別訪問の禁止、ビラの枚数の制限などリアルな選挙とネット選挙が少しかけ離れてきている。選挙は民主主義の基盤。まずは、こうした環境の変化に伴う現状を把握した上で、リアルの選挙運動との整合性も含めて議論すべき時期に来ていると思う」と解説した。
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