神尾篤史のグロース市場についての解説。グロース市場という名前がついていながらグロースしていない状況がある。グロース市場に上場した会社の時価総額の成長率で、時価総額が10倍以上になった会社はわずか5%で、上場後よりも時価総額が下回っている企業は45%もある。改革は3つの施策を1つのパッケージにしたもので、テーマは成長と新陳代謝を両方促進させていくもの。1つ目は上場前の話で、上場後の高い成長を見据えたIPOの推進。2つ目以降が上場後の話で、高い成長を目指した経営の働きかけ、3つ目が上場維持基準の見直し。これら3つは正式に決まったものではなく夏ぐらいに正式なものが出てくる。現在の上場維持基準に抵触するおそれのある時価総額40億円未満が最も多く227社、新たな上場維持基準に抵触する可能性がある時価総額40~100億円の企業が202社となっている。株価は変動するので時価総額100~250億円の企業は上場維持基準を安定的に充足させるアクションが求められる。250億円以上の企業は69社でかなり限定的。一部はスタンダード市場に移行する方々も出てくる。機関投資家が投資しづらい小さな企業がグロース市場には多いので個人投資家にはチャンス。改革の中で注目されるのは高い成長を目指した経営で、施策の本題はM&Aを含めた成長投資だがグロース市場の株式保有割合の5割超が個人投資家なので個人投資家の目線を考える必要がある。個人投資家の株式購入理由の1位は配当なので配当を中心とした株主還元を考える企業もある。改革によりグロース市場の経営者の意識が変わることを期待している。業績に加えて株価を上げる努力が求められてきている、健全な緊張感が醸成されることに期待したい。グロース市場がIPO全体の半分程度を占めていたが上場維持基準の引き上げで減少してくる、上場維持基準が5年100億円ということを考えると時価総額20億円での上場は難しい。一方でスタンダード市場の基準は変化がないのでIPOが一定程度増えるのではないか。グロース市場からスタンダード市場への移行が増えるとするとスタンダード市場がプライム市場を超えていく可能性がある。ただスタンダード市場はPBR改革の進捗が芳しくないので今後より企業価値を高める施策を期待したい。