松波さんはドル円予想レンジを142.10円~142.70円とし「ニューヨークは約40銭程度の狭いレンジだったので、きょうも年末閑散で動きにくい展開を予想している」と話した。また、注目ポイントには「円高進行を阻む3つの要因」と挙げ、1つ目に「利上げ停止後の円安」とし、「1980年以降2018年を除きアメリカの利上げ停止後のドル円が円安に向かったことが事実として挙げられる。最後に利上げをした日からドル円がピークを迎えた日までの騰落率を見ると、2006年は4%だったがそれ以外の3回は20%を超え大きく円安に動いていた。こうした円安のときには日米の3か月金利差が平均3%を超えていた。唯一円高に触れた2018年は3%割れだった。足元の金利差は5.7%もあったので、円高進行を阻む要因とみている」と話した。2つ目の「需給による構造的な円安」については「ドル円と連動性が高い日本の対外直接投資はTOPIXに約1年ほど遅れて推移する傾向があるため、来年は対外直接投資の増加で実需の円売りになりそう。さらに来年1月からのNISA拡充で投資信託を経由した対外株式投資が増え、円売り圧力になりそう。外国株式の約9割を占めるのはアメリカ株なので、需給面での円安圧力になりそう」と話した。また、3つ目の「産業構造改革によるドル買い」については「アメリカで官民一体の産業構造改革の進展でグローバルマネーのアメリカ株への投資が実需のドル買いになるとみている。産業構造改革の前例である1994年の情報スーパーハイウェイ構想の予算が成立した時のS&P500とドル指数を100とし、その後約2年間の推移を示したグラフを見てみると、当時の株価とドル上昇の起爆剤はWindows95の発売だった。今回の起爆剤はchatGPTリリース以降のAIに関するイノベーションだと思う。アメリカ政府が国内半導体産業に補助金を出し支援するCHIPS法の成立を契機とした改革が1994年同様、アメリカ株への資本フローの増加を促すと見ており、ドル需要は根強いと考えている。このような3つの要因から来年のドル円は実需のドル買いに支えられ、140円割れがあったとしても定着せず、140~150円程度を小アレンジとし、底堅く推移するんじゃないかと思っている」と述べた。