投票率が平成以降2番目に高かった今回の都知事選挙。各候補が力を入れ関心が集まったのがSNSの動画。中でも今回、特に広がったのが切り抜き動画。候補者の映像に第三者がテロップを入れたり短く切り抜いたりして編集したもの。切り抜き動画はTikTokで確認できただけでも公式アカウントの数十倍再生されていた。一方、取材を進めると切り抜きやSNSならではの課題も見えてきた。今回の東京都知事選挙、ネット上で特に注目されたのが石丸伸二さんだった。選挙期間中に各候補者の名前がどれだけネットで検索されたかを示したグラフ。小池さん、蓮舫さんに比べ石丸さんが突出している。中でも、よく見られていたのが切り抜き動画。石丸さんの公式アカウントなどが公開した動画を第三者が編集したもの。その動画は100万回以上再生されていた。なぜ石丸さんの動画はこれほど見られたのか。各候補者のSNS戦略を分析した専門家に話を聞いた。
SNSアナリストのネットコミュニケーション研究所代表・中村佳美さん。各候補とも特徴のあるネット戦略を展開していたという。中村さん「全体の中のフォロワー数でみると小池さんがトップ。蓮舫さんは市全体の自身を伝える投稿が多かった」。一方、石丸伸二さんの戦略はネット上に自分の動画を増やすことだったという。石丸さんは切り抜き動画の投稿を何度も呼びかけていた。中村さんが行った調査では、公式アカウント以外に石丸さんの動画を投稿する、いわゆる応援アカウントを含めた動画の再生回数は少なくとも1億5000万回以上に上っている。一方で、広告が表示されるSNSでは、動画の再生回数に応じて収益が得られるため、中には収益目的で切り抜き動画を投稿する人がいたという指摘も。
広がりを見せた切り抜き動画。誰でも編集して投稿できるがゆえに、その危うさも指摘されている。選挙期間中に行われた小池さんの街頭演説の様子。「やめろ」という声が上がっている。こうした街頭演説を巡って、全く見え方が異なる2つの切り抜き動画が投稿された。1つは小池さんが「やめろ」という声を受けて演説を一時中断したところまでを切り取ったもの。“本当の都民の声”というコメントとともに投稿され、小池さんに対して批判的な人たちなどが拡散していた。一方、演説を中断したあと再開するまでを切り取ったものはスピーチの内容とともに“拍手と大歓声”などとコメントされていた。小池さんの行動を好意的に受け止める人たちにより拡散された。このように同じものを撮影した動画でも、切り取り方やコメントによって見る人に与える印象もかなり変わってくる。さらに、SNSならではの特徴に注意する必要があると指摘する専門家もいる。党去大学・鳥海不二夫教授は同じような情報や意見ばかりが集まるフィルターバブルに陥り、一方的な見方が強まっていくおそれもあると指摘している。
SNSアナリストのネットコミュニケーション研究所代表・中村佳美さん。各候補とも特徴のあるネット戦略を展開していたという。中村さん「全体の中のフォロワー数でみると小池さんがトップ。蓮舫さんは市全体の自身を伝える投稿が多かった」。一方、石丸伸二さんの戦略はネット上に自分の動画を増やすことだったという。石丸さんは切り抜き動画の投稿を何度も呼びかけていた。中村さんが行った調査では、公式アカウント以外に石丸さんの動画を投稿する、いわゆる応援アカウントを含めた動画の再生回数は少なくとも1億5000万回以上に上っている。一方で、広告が表示されるSNSでは、動画の再生回数に応じて収益が得られるため、中には収益目的で切り抜き動画を投稿する人がいたという指摘も。
広がりを見せた切り抜き動画。誰でも編集して投稿できるがゆえに、その危うさも指摘されている。選挙期間中に行われた小池さんの街頭演説の様子。「やめろ」という声が上がっている。こうした街頭演説を巡って、全く見え方が異なる2つの切り抜き動画が投稿された。1つは小池さんが「やめろ」という声を受けて演説を一時中断したところまでを切り取ったもの。“本当の都民の声”というコメントとともに投稿され、小池さんに対して批判的な人たちなどが拡散していた。一方、演説を中断したあと再開するまでを切り取ったものはスピーチの内容とともに“拍手と大歓声”などとコメントされていた。小池さんの行動を好意的に受け止める人たちにより拡散された。このように同じものを撮影した動画でも、切り取り方やコメントによって見る人に与える印象もかなり変わってくる。さらに、SNSならではの特徴に注意する必要があると指摘する専門家もいる。党去大学・鳥海不二夫教授は同じような情報や意見ばかりが集まるフィルターバブルに陥り、一方的な見方が強まっていくおそれもあると指摘している。