政府が452億円の支援を決定したNTT。次世代の情報通信基盤「IOWN」は電気を光信号に変換することで、消費電力を100分の1に抑え、遅延がほとんどなく大容量でデータなどを送れる。澤田会長はこれを活用し、光の回路で動く「光の半導体」の開発を目指すとしている。AIのデータ処理をするデータセンターの電力消費が世界で急増している。そこでNTTは低消費電力の“光の半導体”を投入し、ゲームチェンジを狙っている。1月30日、経産省は光電融合デバイス・メモリ機器・ソフトウエアの3部門の開発に総額452億円の支援をすると発表した。古河電気工業は光電融合デバイス開発の一部を担当する。電気を光に変更する半導体素材の加工技術を持っていて、それをより効率化して“光の半導体”の開発につなげたいとしている。澤田会長はIOWN構想の立ち上げ当初からパートナーとの協業を重視してきた。その理由は2000年代に一世風靡したNTTの「iモード」。NTTグループだけで事業を展開した結果、ガラパゴス化し、海外勢のスマートフォンに敗北した。もう1つのパートナーが政府。このタイミングで国の支援を受けた背景にはある狙いがある。NTTはNTT法で研究開発した成果の開示義務を負っている。政府・与党は開示義務の撤廃を含む「NTT法」に改正したい考えだという。