”前代未聞”の口論 鉱物資源めぐる合意見送り

2025年3月1日放送 19:00 - 19:09 NHK総合
NHKニュース7 (ニュース)

アメリカ・ウクライナ首脳会談。およそ50分間、メディアに公開された会談。序盤の和やかな雰囲気に、その結末を感じさせる予兆はなかった。しかし、およそ40分後、報道陣の質問をきっかけに、空気が変わる。記者「プーチン大統領に近すぎるとの懸念もある」との質問に対しトランプ大統領は「双方に歩み寄りがなければディールは難しい」、バンス副大統領「平和と繁栄への道は“外交”に取り組むことかもしれない」、ウクライナ・ゼレンスキー大統領「オバマ氏、トランプ氏、バイデン氏、2014年(クリミア併合)から誰もプーチンを止められなかった。どんな外交ですか」。そして、黙って聞いていたトランプ大統領も「我々がどう感じるか言わないでほしい。あなたは指図する立場にない。あなたは数百万人の命を使って賭けをしている。第3次世界大戦をめぐって賭けをしている」。そして会談では、ウクライナの鉱物資源の権益を巡り、安全の保証に関する隔たりも浮き彫りになった。アメリカは、鉱物資源の共同開発に関わることが安全の保証になるという立場。一方のウクライナは、将来のロシアの侵攻を抑止するため、NATOへの加盟などを求めてきた。共同記者会見は中止に。合意文書への署名も見送りになった。アメリカでは、与野党で評価が分かれている。共和党・グラム上院議員はワシントンで「ゼレンスキー大統領は辞任し我々と一緒に仕事でkリウ人物送るか、自身を変える必要がある」と述べた。民主党のシューマー院内総務は、トランプ氏とバンス氏はプーチンの汚れ仕事をしていると批判。EU(ヨーロッパ連合)フォンデアライエン委員長は、ゼレンスキー大統領、あなたは決して1人ではないとし、ウクライナを支え続ける姿勢を強調した。ロシア安全保障会議のメドベージェフ副議長は、これは有益だが、まだ足りないと投稿。ウクライナへの軍事支援の停止につなげるべきだと主張した。
専門家は、双方の考え方に大きな違いがあったと指摘する。笹川平和財団・畔蒜泰助上席研究員は「“トランプ大統領なら外交で平和を早期に実現”というバンス副大統領の発言に対しゼレンスキー大統領は“外交とは何ですか”“ロシアとはまともな外交はできない”と否定してしまった。トランプ政権のウクライナ外交を否定したと捉えられた」。
トランプ大統領は会談のあともゼレンスキー大統領への批判が止まらない。ゼレンスキー大統領は報道陣の問いかけに応えることなく、ホワイトハウスを後に。その後、出演したアメリカのFOXニュースで、改めて「オープンで正直でなければならない」と主張した。ただ今後については「大統領2人の関係以上に歴史的、国民同士の強い関係がある」。今後の対応が注目されるトランプ大統領は「(Qゼレンスキー氏よりプーチン氏を信頼するのか?)取引を成立させたいだけだ」との考え方を示している。
笹川平和財団・畔蒜泰助上席研究員は「両国関係はさらに悪化していく可能性が高い。トランプ政権内でウクライナに対する支援を縮小、停止していくべきだと議論が始まる可能性がある」とコメント。その上で、停戦に向けた動きにも大きな影響を与えるとの見方を示した。「ロシアは停戦そのものを急いでいない。アメリカとの関係回復を進めつつ戦争を継続する選択肢が生まれてくる」などとコメント。


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