国際報道 SPOT LIGHT INTERNATIONAL
南米のアマゾンは世界最大の熱帯雨林が広がっているが、森林伐採や野焼きなどで多くの面積が消失し、地球温暖化を加速させる要因になると指摘されている。アマゾン川流域でで新たな脅威になっているのが干ばつ。そして今年も2年連続で記録的な干ばつになっている。アマゾン川の支流のソリモエンス川に面したマナカプルでは、周辺の街と集落の行き来は川が使われてきたが、今干ばつによって深刻な影響がでているという。水位の低下で川底の砂が露出。中にはボートを車両に乗せて運ぶ人も。アマゾン川の別の支流を訪ねてみると、水が引いて草が生えていた。この川で水上レストランを経営するジオゴ・ペレイラさんは、いつもは水でいっぱいです、歩いて行ったことはなかったと語る。これが新しいノーマルだと言われても商売は耐えきれません、3回目の干ばつが起こって支援がなければみんな失業してしまう、などと危機感をつのらせていた。
影響は流域の製造業にも出ている。この地域の最大都市、マナウスにある経済特区には日本企業などが進出し、輸入した部品の組み立てを行っている。これまで部品を運ぶコンテナ船が利用してきたのがアマゾン川。ところがマナウス付近の水位が低下したことで、大型の船が入港できなくなった。そこで下流のイタコラティアラに臨時の港を作った。ここで水深が浅くても航行できる小型船に荷物を積み替えマナウスへの輸送を継続している。施設の整備などの費用は約12億円に上った。
なぜ記録的な干ばつが起こっているのか。国立アマゾン研究所のへナート・セーナ研究員は、干ばつはアマゾン地域に限らず南米全体で起きていると指摘。エルニーニョ現象と大西洋の海水温上昇が同時に発生したことが原因ではないかと考えている。干ばつに見舞われた住民は、アフリカやアジアですでに見られるような気候難民となる恐れがあると述べた。