国際報道 SPOT LIGHT INTERNATIONAL
アメリカに不法入国した人たちについて。今年1月“不法入国者は強制送還の対象”との方針を打ち出したトランプ政権、これに対し大きな不安を抱いているのがアメリカに滞在し亡命を目指している中国人。正規の手続きを経ず入国した中国人の数は増加、不法移民政策を掲げるトランプ政権によって中国に強制送還されるのではないかと懸念を強めている。カリフォルニア州で現在亡命を申請している中国人家族を取材。蔡志剛さんは政治的な迫害を受け家族と共にアメリカに渡って来たという。蔡さんはSNSを通じ自身の体験など情報発信を行っている。蔡さんは浙江省の農村で村長をつとめていた。中国共産党の指導で土地開発が行われ、農民は土地を差し出すかわりにマンションや店舗が提供される約束だったという。その後、買収したすべての土地を政府が所有すると政府がいい出した。蔡さんは党の方針に反対し続けた。蔡さんは村長を解任され党から除名された。命令に従うしかなかったという。中国での居場所を失い、2022年12月アメリカ亡命を決意。ビザが下りなかったためエクアドルのジャングルを徒歩で越える走線を行った。3700キロ。命を落とす人もいた。蔡さんはSNSで自身の体験などを発信した。蔡さんの元には同じように亡命を相談する中国人から度々相談が入るようになった。この日、相談にのってきた家族から入国できたという連絡が入った。その人と会った。張一民さんは子ども二人を含む4人家族。張さんは去年11月、当局に抗議行動を起こした。白紙革命2周年のとき、地元公安局の前で白紙を掲げたという。白紙革命はゼロコロナ政策・言論統制などに抗議。天安門事件以来の大規模運動になった。運動は鎮圧された。大勢の若者が逮捕され、中心メンバーは消息不明となった。抗議行動を起こした張さんは、当局から連絡が来たという。怖くて逃げ出すことにした。張さんと蔡さんが出会ったのはトランプ大統領就任式の前日。アメリカでの亡命申請の認可が家族にとって命綱になる。自由に生きたいというのは人間の根源的な願いでもある。その願いが2つの大国の間で脅かされている。世界は寛容さを失いつつある。蔡さんと張さんの亡命申請は今後2回の審査を経て決まる。