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きょうのテーマは「権威主義 世界に広がりアジアから危機感」。インドネシアのユドヨノ元大統領は2009~2012年まで大統領だった人。インドネシアはかつて30年ほど権威主義体制が続いてきた。1998年、スハルト大統領が辞任し、そのあと民主化に柁を切った。ユドヨノさんは民主化の象徴として2004年に初めて国民の直接投票による大統領選挙で選ばれ、その後10年間大統領をつとめて民主化を引っ張ってきた。世界やアジアでも民主主義が後退していると言われている。特に中国は経済成長を実現したということもあり、グローバルサウスの国々が憧れることもある。また民主主義のリーダーだったはずのアメリカもトランプ政権のもとで強権的な構えを続けている。ユドヨノ大統領はインタビューで「権威主義は経済問題などに早く対処でき、民主主義よりいいという意見がある。短期ではいい成果が出るかも知れないが長期では国民に指示されないのでは。」などと話した。ユドヨノさんは強権的なスハルト政権のもとで国軍の将軍にまで上り詰めた人物。スハルト元大統領は絶対的な権力をふるい、経済成長を実現したと言われているが、その後のアジア通貨危機をきっかけに力なく辞任した。その前後に国内経済が大混乱し、華人の商店などが放火されたり性暴力の事件も起きた。もともと強健体制の中心だった国軍でもユドヨノさんは改革派として知られていて政治家になっても民主化を進めてきた自負も感じられた。インドネシアでは残念ながら民主主義の後退を思わせる制度変更が相次いでいる。汚職体質を改善するということで専門の捜査機関ができたが権限を縮小する動きもあるし、現役の軍人を登用できる政府機関を拡大したことも最近あった。スハルト時代には国軍が国の隅々まで目を光らせることがあったので、その反省から権限を縮小していたが、その揺り戻しという動きが出ている。ユドヨノさんもそこかしこで課題が出ているとこぼしていた。ユドヨノさんはアジアの安全保障環境については「東南アジアや東アジアで米中・中台の間で戦争が起こる可能性は常にある。米中などの艦隊や戦闘機が行き交っている。指揮官の命令がなくても互いに接近すれば誤射によって開戦することもあり得る。」などと話した。米中戦争を防ぐポイントは(1)米ソの暗黙の了承から学べ、(2)東南アジアや日本など多国間主義を推進。