モーサテ マーケット・シグナル
マーケット担当の長江記者が企業の今後を先読みする。きょうのテーマは「インバウンド関連株に変化の波・注目は関西とホテル」。関税の影響を受ける製造業の決算も気になるが、ここ数年、株式市場のテーマとして注目されてきたインバウンド関連株に変化の波が押し寄せている。航空・テーマパーク・百貨店の決算を紹介。ANAHDは日本航空とともに国際線事業は好調だった。オリエンタルランドは入園者数がほぼ前年並みだったが、客単価が伸びたことやホテル事業の利益が2倍に増え増収増益だった。阪急阪神百貨店を運営するH2Oリテイリングは大幅減益。他の百貨店も同じ状況。インバウンド客による高額品の購買需要の減少が響いた。鉄道の決算を紹介。JR東日本は3月に開業した「高輪ゲートウェイシティ」の賃貸収入が入り、不動産ホテル事業が大きく増えたことなどで最終増益を確保した。東京メトロや京成電鉄は、鉄道事業で人件費など費用の増加。阪急阪神HDは鉄道やホテル事業が好調で今期3月期業績予想を上方修正した。鉄道など運輸事業の利益率の変化は“西高東低”。JR東日本は来年3月からの鉄道運賃の平均7.1%値上げについて国交大臣の認可を受けた。関西を拠点とする企業が利益率を改善している背景には大阪・関西万博の存在が大きい。阪急阪神HDは2025年4-6月期は阪急電鉄と阪神電気鉄道の定期外の輸送人員が4.5%増加した。同じように万博効果で南海電気鉄道も業績が好調。ホテルは鉄道と違い、価格を変動させやすいという点から稼ぎ頭になり始めている会社もある。鉄道会社の2025年4-6月期セグメント別利益を紹介。インバウンド客の増加が続いているため、限られた客室を奪い合う構図になるので価格を上昇させやすい。オリエンタルランドも注目されている。セグメント別営業利益をみると、ホテルの平均客室単価が1万円近く上昇した。オリエンタルランドはホテルの宿泊メリットの増強に力を入れている。インバウンド客の支出動向をみると、宿泊費が占める割合は急激に上昇している。