ガイアの夜明け 後悔しないリフォーム
点検商法の中でも、国民生活センターの集計では屋根に関する相談が多いという。そんな屋根のリフォームトラブルを防ぐヒントとなる会社があった、静岡市で屋根の工事を請け負う長澤瓦商店。この日向かったのは、静岡市内にあるアパート。雨漏りしているかもしれないので見て欲しいという依頼だった。案内されたのは2階の角部屋、屋根裏に雨漏りが原因だと思われる大きなシミがあった。早速屋根に登るかと思いきや、取り出したのはドローン。長澤さんは悪質な点検商法と差別化するため、まずはドローンを使用している。見えてきたのは2色に塗り分けられたかのような屋根、左側の濃い部分が5年前に修理した跡の様子。お客さんと一緒にドローンで大まかな状況を確認した上で、細部を見るため屋根に登る。綺麗に塗装したように見えるが、屋根板の隙間を塗り固めたことで逆に水が逃げ場を失ったという。長澤瓦商店が行う屋根の点検費用は5000円、丁寧な説明を心がけ見積もりは後日作り点検当日に契約することはない。
ドローンを使った点検でお客さんに安心してもらう、長澤瓦商店の今のやり方にきっかけをつくってくれた人がいた。明正剛典さん、長澤さんとは7年前からの付き合い。以前、ドローンの会社に務めていた明正さんは屋根職人を集め各地で講習会を開催し、ドローンが点検商法撲滅の有効な手段になり得ると提案していた。共感した長澤さんはいち早く取り入れた。ドローンの講習会を通じて全国の屋根職人と交流を深めていった明正さん、東京・東村山市の内野友和さんもその1人。明正さんは3年前、屋根業者向けのデジタルサービスを提供するハウスケープを企業した。顧客管理ソフトやAIを使ったシミュレーションソフトなどを開発・販売している。「STOP!リフォーム詐欺 やねプロ」というサイトを立ち上げ、点検商法撲滅の活動も行っている。中でも力を入れているのは、信頼できる屋根業者のリストを作ること。現在掲載しているのは17社、その中には長澤瓦商店もあった。職人が屋根の国家資格を持っていることや、修理の目安となる価格を明記し安心して依頼できる会社だとアピールしている。
屋根職人の発信力を高めていきたい、明正さんは「やねプロ」に掲載する職人を増やすため全国を回っている。この日訪ねたのは、奈良で200年の歴史を持つ老舗「瓦喜」。職人は、代表の小林喜之さんを含め2人でホームページは持っていない。屋根業者の多くは従業員4人以下の小さな会社なため、営業に力を裂けずハウスメーカーや工務店から仕事をもらう下請けとなっている。それを「やねプロ」に掲載することで、一般のお客さんからも直接依頼が来るようにしたいと明正さんは考えている。小林さんも直接仕事を受けたいとは思いつつ、価格の決め方などがわからずお客さんの反応も気がかりだという。この日、新しい挑戦に一歩踏み出したいと考えた小林さん、会社のHP制作を明正さんに依頼し「やねプロ」に掲載することを決めた。早速HP用の写真撮影、屋根の修理には自信のある小林さんだがポーズを取るのは照れくさそうだった。自己アピールは苦手でも、誠実で確かな技術を持つ小林さんのような人こそ知ってもらいたい屋根職人。見た人が頼みたくなるHP、明正さんの腕の見せ所だ。