NHKニュース7 (ニュース)
ドイツで今の政権が崩壊したことを受けて、23日、総選挙が行われる。世論調査の支持率で首位に立つ中道右派で最大野党の首相候補が、ウクライナ支援を重視する一方で、2位につける右派政党は軍事支援に反対している。最大野党キリスト教民主社会同盟の首相候補、メルツ氏はウクライナ支援に積極的な姿勢を見せている。ドイツは、ウクライナでの戦闘が拡大するのを防ぐため、射程500キロの巡航ミサイル「タウルス」の供与は拒否してきたが、メルツ氏はヨーロッパ各国との合意があれば、供与する考えを示している。こうした姿勢を批判するのが、世論調査で2位につける右派政党、ドイツのための選択肢。ワイデル共同党首は、ウクライナに兵器や兵士を送らないと述べた。ウクライナへの軍事支援に反対し、支持者の中にはロシアに親近感を抱く人も少なくない。移民や難民に排他的な姿勢を掲げ、極右だとされているが、前回に比べ、得票率を倍増させる勢い。さらに、実業家・イーロン・マスク氏から強力な応援。党のクルパラ共同党首もトランプ政権と良好な関係を築けると強調している。今回の選挙では、いずれの政党も、単独で過半数を獲得するのは難しい情勢で、選挙後には、連立政権の発足に向けた協議が行われる見通し。ドイツでは、ナチスの過去から主要政党は、極右勢力と協力しない事実上の協定があり、ドイツのための選択肢が政権入りする可能性は低いと見られている。ただ専門家は、新しい政権がウクライナ政策などを巡り、トランプ政権と歩調をそろえるのは、難しい課題になるとの見方を示している。ヨーロッパ外交問題評議会・ブリエリン上級政策研究員は「トランプ政権は欧州の極右ポピュリスト政党と価値観や世界観を共有している、これまでの体制にとって体制にとって大きな衝撃でドイツ政府の課題になる」と指摘した。