モーサテ プロの眼
大橋さんは「トランプ政権発足以降、常に金融市場が意識しているシナリオの1つがスタグフレーション。1年後の予想インフレ率はすごく上がっている一方、消費者先行指数が急落。ウォルマートなどは値上げを示唆している。値上げを示唆する企業は明らかに多い。値上げの現実は複雑ではないかと考える。トランプ関税の関する企業の対応は2つある。自社で負担、価格転嫁、両方とある。10%以上の関税率が残るなら価格転嫁を選択する企業は多いと予想する。価格転嫁の仕方は複数の自動車会社は当面の価格据え置きを表明している。競合他社の状況、売上維持要請、コスト削減などもある。製造原価を下げる努力もできる。すぐに値上げできれば問題ないが相手がいる話。大事なのは消費者センチメント。米中貿易摩擦が始まったのは2018年。市場では今と同じようなセンチメントがあった。株価は下がったし原油価格もものすごく下がった。コアPCEデフレーターは19年にかけて失速していく状況となった。いろいろな要因が複雑に絡み合った結果として18年の後半から19年にかけてあまりインフレにならなかった。サプライチェーンの再編・シフトで関税を迂回。ドル高の影響。資源価格の低下、消費者マインドが悪化している中で価格転嫁できなかったこともある。価格転嫁はやってみないとわからない。単純にインフレになると決めつけないほうがいい。結局、関税率が決まらないと何も始まらない。相互関税10%と個別関税が残る前提にすればこの程度であれば耐久財の価格転嫁は起こるが長期化するのではないか。すぐに値上げをするのではなく数年を見据えた長期的なものになる。非耐久財は比較的短期かつ大規模に実施される可能性がある。急激な価格転嫁なら売り上げ大幅減か」などと述べた。