ワールドビジネスサテライト WBS X
きょうのテーマは「トランプ関税とアメリカ企業」。アメリカ・ロサンゼルスに本社を置くキッチン家電メーカーの「イェディハウスウェア」は油を使わずに揚げ物を調理するエアフライヤーが人気商品。2017年から、この製品を販売しているが、今後の業績はトランプ氏の関税政策次第。この製品は全て中国で製造しているという。自らを「関税男=タリフマン」と呼ぶトランプ氏。選挙戦中には中国からの輸入品に一律60%の関税を課すと訴え、その後も大統領就任の初日に中国からのほぼ全ての輸入品に10%の追加関税を課す考えを表明している。現在、エアフライヤーは120ドル前後で販売しているが、関税を価格転嫁した場合は200ドル近くまで値上がりする可能性があるという。事業をやめることを覚悟したイェディハウスウェアの社長は大統領選が終わる前からトランプ関税への準備を進めていた。関税で仕入れ価格が高くなる前に増産し、在庫数を増やした。この日もフライヤーを含む中国で製造する様々な製品を今のうちにとアメリカに運んでいた。アメリカで輸入商品を取り扱う企業への調査では3分の1以上の企業がトランプ関税に備え、「在庫を増やすことを検討している」と回答。ロサンゼルス港でも最近、中国製品の輸入増加などで港が混み合う事態が発生している。トランプ関税を警戒する企業がいる一方、これを歓迎して備える企業もいる。サンフランシスコ郊外のギルロイにある「クリストファー・ランチ」はニンニクだけで年間約160億円を売り上げる北米最大のニンニク生産業者。この工場だけで従業員は約100人。アメリカ産ニンニクの売り上げは安価な中国産に押され、低迷。事業が続けられなくなる生産者も相次ぎ、1990年代に12社いたものが、現在は3社に減った。今やアメリカのスーパーに並ぶのも中国産。中国産ニンニクの世界シェアは75%を超えた。クリストファー・ランチの副社長はアメリカ産ニンニクの優位性と高めるには対中関税が課されることが極めて重要。対中関税によって公平な競争ができるようになると話した。こうした背景から副社長は関税について政府へのロビイングを続けた。その結果、第一次トランプ政権の2019年には中国産ニンニクの関税が10%から25%に上昇。すると、クリストファー・ランチの売り上げは25%増えた。今回のトランプ関税でも売り上げの伸びを見込み、ニンニクの生産を15%増やす計画で投資を始めている。