台風弱体化の未来に挑む

2026年1月17日放送 23:15 - 23:26 NHK総合
ヴェルヌが見る夢〜X年後の世界〜 (ヴェルヌが見る夢〜X年後の世界〜)

台風弱体化を空想する人物が愛知・名古屋市の名古屋大学 宇宙地球環境研究所に在籍し、さらに横浜国立大学 台風科学技術研究センターの副センター長を務める坪木和久教授。坪木は台風観測のエキスパート。2025年10月8日、航空機で名古屋空港を出発。目的地は日本に接近していた台風22号。高度14000mで目に突入する。ドロップゾンデを機体の外に投下。海に落ちるまでの15分間、1秒毎に温度などを事細かに観測。坪木はこうした台風観測を毎年行いデータを蓄積している。
台風弱体化にうちこむようになったきっかけは2010年。台風の動きをシミュレーションする研究を行っていた時、坪木は「2070年よりも先の未来において、スーパー台風がより強いものになる その強い勢力を維持した状態で日本本土に上陸する可能性がある」という。スーパー台風は、アメリカの定義で最大風速67m/s以上の台風のこと。最近では2013年にフィリピンに上陸した台風ハイエン。坪木のシミュレーションでは今世紀後半、スーパー台風が日本列島に上陸。しかもフィリピンに上陸したものと同等か、それを上回るものだという結果だった。坪木は「私たちがやろうとしているのは台風の勢力を温暖化で増大した分だけ、今の状態に戻す これを台風減勢という」と説明。ただ大前提として台風の進路と強度と雨量が高精度に予測できる必要がある、そのためには台風のデータが必要になるという。戦後、世界の台風観測をリードしてきたのはアメリカ軍だった。米軍機による台風観測のデータは日本に共有された。この米軍機の観測は、1987年に終了。その後日本は台風を直接観測し続けていない。気象衛星の撮影した雲のパターンから中心気圧を推定している。坪木は、「ところが非常に強い台風になってくると誤差が大きくなってくる もう航空機による(直接)は観測しかない」という。
2017年、坪木は航空機による観測を実現。目の中で直接観測したデータを使うことで、台風予測の制度が飛躍的に高まることが明らかになった。坪木は今は何人も航空機に乗り込んで行っている台風内部の観測を無人航空機にやらせようという。そのさらに先にあるのが台風弱体化。坪木は「不安定な雲に刺激を与えることができれば台風の発展のしかたが変わってくる」という。過冷却水滴に何らかの刺激を与えると一瞬で凍るという。凍らせると台風は「最も良い条件で中心気圧が数十hPa弱まる それに伴って風速が10m/s以上弱くなる」などと説明した。しかし実用化には大きな壁があり「台風のどの部分にどれだけの過冷却水滴があるのかを知る必要がある」。そこで坪木は新たな観測装置の開発を進めようとしている。さらに過冷却水滴を凍らせる方法も現在検討中。台風弱体化は他の地域に悪影響を及ぼす可能性はあるのかと質問すると、「実際にはその可能性は極めて低いと思う コンピューターシミュレーションによっていくつも台風を発生させて進路は変わらないで勢力だけが減衰するということを知ったうえでやるから(他の地域に)大きな影響を及ぼすことは考えにくい」と説明した。弱体化の実現はいつ頃になるのかについて早くて2050年を目標にしているという。


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ひまわり名古屋市(愛知)台風22号ハイエンフィリピンスーパー台風ドロップゾンデ名古屋大学 宇宙地球環境研究所台風科学技術研究センター

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