ニュースウオッチ9 (ニュース)
日本を訪れる外国人旅行者が、過去最多となった。2010年代に急増した外国人旅行者は、コロナ禍で大きく減ったものの、ことしは11月までの累計で3337万人余となり、これまでで最も多かった2019年をすでに上回った。日本での過ごし方にも変化が出てきているよう。タイやウズベキスタンなどからやって来た8人の外国人が訪れたのは、千葉・君津市にある廃校。制服に着替えて体験するのは、民間の企業が開催する高校生活体験プログラム。日本を何度も訪れ、新たな体験を求める人や、アニメなどで日本の学生生活に興味を持った人などを中心に予約が相次いでいるという。学校体験は朝のホームルームから。1時間目は国語の授業。初めての書道に挑戦していると、突然地震発生の警告音が。防災頭巾をかぶって身を守る方法も体験。お昼は給食。ことしの2月から始まったプログラム。都心から車で1時間以上離れているにもかかわらず、SNSなどで注目され、参加者も増加傾向にあるという。
日本を訪れる外国人旅行者。国や地域別に見ると、最も多いのが韓国。次いで中国、台湾、米国からとなっている。ことしは円安を背景に欧米からの旅行者が好調で、米国はコロナ禍前の同じ時期と比べて、57.4%増加。ヨーロッパもドイツ、イタリア、スペインでは、コロナ禍前より4割ほど増えている。日本での過ごし方も変化が出てきているよう。ノルウェーからの観光客は「山の中にある温泉に行きお湯に入ってサルをみたい」などコメント。青森を訪れて帰国するという台湾からの旅行客は「ストーブ列車。スルメを焼いてリンゴジュースを飲んで。とても楽しかった」と語った。
東京で外国人旅行者の人気を集めるのは、東京・渋谷区の観光協会が民間企業と実施している公衆トイレツアー。世界的なクリエーターが作った公衆トイレを巡る。参加者の多くが応募した理由に挙げるのが、一本の映画。役所広司が寡黙な清掃員役を演じ、去年、カンヌ映画祭で最優秀男優賞を受賞した「PERFECT DAYS(原題)」。最近はSNSなどでツアーを知ったという外国人からの予約も相次いでいる。ツアー運営会社・徳野創紀マネージャーは「映画を通じて認知した人が多かった。こんなに来ると思っていなかった。驚き」と語った。先週、ツアーに参加した家族は、米国で公園管理の仕事をする父のために、大学生の子どもがインターネットで調べて応募したという。
日本を訪れる外国人旅行者の目的が多様化していることについて、日本総研主任研究員・高坂晶子さんは「(観光客は)今しか味わえないような感動を味わっている。それを動画に撮って(SNSに)アップして。特定のスポットの情報とか、それにまつわるストーリーが拡散しやすくなっている。ニッチなツアーで観光客を集めることができる。事業として成り立たせることができる」と語った。