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注目は「揺らぐWTO 自由貿易の行方は」。WTOは自由貿易のルールの土台となっている国際機関。制限・関税をできる限り抑え、自由にものやサービスをやり取りするというもの。WTOは約30年前に設立され、現在は166の国・地域が加盟している。ただ、5年前から重要な”ある機能”が働かなくなった。WTOは貿易の揉め事を解決する仕組みがあるが、1審・2審があり2審の上級審が開けない状況となっている。発端はアメリカで理由の1つは米中対立。アメリカは中国の国有企業が自由貿易の競争を非公正にしているのでは?との趣旨で提訴したが、最終的に中国側の主張が認められ、アメリカが反発した。2審は裁判官にあたる委員が加盟する国・地域全体の合意を得た上で選出されるが、アメリカが選出を拒否したことで委員が立たなくなり、事実上2審が機能していない状態。WTOだけで解決に持ち込むのは難しい。メキシコやカナダが関税を引き上げたアメリカを訴え、1審でメキシコやカナダが勝った場合、アメリカがあえて2審に上訴することで2審は開かれないため、結局宙ぶらりん状態となる。これを「空上訴」と言い、アメリカも実際に使用したことがある手段。2審に上訴せず1審だけで解決した事例もあり、2審の空白が続くのはよくないため、2020年に従来の上級審に代わる暫定的な上級審を一部の国・地域で立ち上げ、そこで解決した事例もある。複数の日本政府関係者は希望的な意味も込め、「トランプが就任したとしてもアメリカはWTOを脱退する可能性は低いのでは?」という見方を示していた。理由は、アメリカも世界各国に輸出しているのでその関税を上げられたくないという思惑があるのではないかと指摘されている。WTOで機能している仕組みなどもあるため、これからそれらを活用し、自由貿易の維持・発展にどのようにつなげるのかが今後注目される。