大下容子ワイド!スクランブル ピックアップNEWS
今週1週間、「未来をここからプロジェクト」の一環で新たな未来を見据えた取り組みを行うSDGs企画を伝える。3日目のきょうは日本で2社だけ、家庭や飲食店などに置いてあるあるものを作り続ける会社の女性社長がいる。新大阪駅から車で約1時間、河内長野市に歴史を感じさせる工場がある。末延秋恵さんは日本に2社しかないという国産のあるものを製造する菊水産業の4代目社長。原材料は北海道産の白樺。国産つまようじを製造している。つまようじの生産が地場産業となっているのが河内長野市。ようじの原料が近くから調達できたことや、日本で初めて機械生産を行い、1980年代には国内に流通しているつまようじの約95%を製造していた。中国産が安く入ってくるようになり、25~6社いた製造事業者が現在は2社しかないという。末延さんの会社では一般的なつまようじだけでなく、和菓子などに使う黒文字ようじも生産している。末延さんの祖父が始めた事業は当初順調だったが、1990年代に入ると安価な中国産におされるようになった。高校卒業後、介護福祉士などの仕事に就いていた末延さんはなぜ厳しい経営が続いていたつまようじ工場を継ごうと思ったのか。末延さんは「祖父との思い出の工場を守りたい」と後継ぎになることを決意した。入社して6年経った頃、新型コロナウイルスの感染拡大で飲食店などを相手にしていた末延さんの会社の売り上げは半減。末延さんは「つまようじ屋の非接触棒」を10日で商品化。SNSで話題となり注文が殺到。
稲刈りあとのわら焼きの火がうつり、菊水産業の事務所・倉庫・作業場が全焼したという。火災に巻き込まれ、工場を閉鎖することも考えたが、燃えることなく残った祖父との写真が末延さんを奮い立たせた。末延さんはこれまでになかった商品を新たに生み出した。つまようじには模様として溝が彫られているが、末延さんの商品には溝がない。つまようじは溝を彫る過程で不良品が生まれ、末延さんの会社だと約4分の1を廃棄していた。これまでの伝統をあえて捨てるという思い切った逆転の発想で新商品を生み出し、1カ月の売り上げが約3倍になったという。デザイン以外で末延さんのつまようじを選ぶ人がいる。河内長野市内にあるカフェ「Bbcafe」の橋本直也オーナーシェフは「丈夫だし、使ってくれる率が高くなる。使い続けたい」と話した。壁が立ちはだかろうとも新たな発想で乗り越え、国内で2社しかないつまようじ工場を守ってきた末延さんの見つめる未来は「夢のある仕事にしないといけない。やりたい若者が出るような世の中になることをしていかないといけない」と話した。
