食彩の王国 (食彩の王国)
今日のランチは名店揃いの浅草で、グルメガイドでも評価の高い中国料理店「龍圓」である。季節のメニューが並ぶ中、特に欠かせない食材は「春の原木しいたけ」である。しいたけの旬は秋だが、春の原木しいたけだけは別格だという。原木しいたけは天然木に菌を打ち込み、自然の中で育て収穫は春と秋に行われるとのこと。一方、市場に出回る一般のしいたけは施設で育てる菌床栽培である。希少な原木しいたけは香りと旨味が強く、春に採れたものは「春子しいたけ」と言い、冬を超えて身が締まっている。今日の主役は「春の原木しいたけ」で、旨味を蓄えた今が旬である。 まずは軸を取って厚めに切り、米油で素揚げしグリーンアスパラガスを加える。一度油から上げてしょうゆやオイスターソースなどで炒めれば「春の原木しいたけと春アスパラの炒め物」の完成である。このしいたけの産地は栃木県の北部で、関東有数のしいたけ産地で森と水に恵まれ、原木栽培の歴史は100年ある。乾いた風が吹く土地柄で干ししいたけ作りも盛んである。郷土料理の耳うどんはコクのある干ししいたけの出汁が決め手で地元の人にとってはソウルフードである。耳うどんや五目めしが紹介された。
町では原木しいたけを使った新メニューがあり、地元で人気のC’est la vieでは原木しいたけを冷凍している。店主の藤田シェフは「しいたけの細胞壁が壊れて旨み成分が流出しやすくなる」などと話した。芽キャベツや自家製ベーコンと一緒にじっくり煮込めば「原木しいたけのアヒージョ」の完成である。更に「The Baton SHIOYA」ではしいたけの風味を楽しむラーメンで、大量の干ししいたけを醤油ベースで使用している。