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カタールは今回だけでなく1990年代の終わりごろから様々な交渉に携わってきていて、国際社会で「仲介役」として認知されている。アメリカがアフガニスタンで進めた軍事作戦をめぐり、タリバンとアメリカの和平交渉を仲介。去年9月、アメリカとイランが互いに拘束していた合わせて10人を解放した交渉でも仲介役を担った。ペルシャ湾に面するカタール。取材したのはイスラム教の断食月「ラマダン」の期間中。日中は人通りもまばらだったが日没を迎えると多くの人で賑わった。国土は秋田県とほぼ同じ広さで、人口は約300万。沖合には世界最大級のガス田があり、天然ガスをLNGに加工し日本など世界中に輸出し莫大な富をもたらしてきた。国民一人あたりのGDPは日本の34位に対し6位。経済力に加えてカタールの存在感を高めているのは独自の仲介外交。その強みとは何なのかカタール外務省のアンサリ報道官に話を聞いた。アンサリ報道官は「対立する国や組織に関わらないことは簡単だが、それでは誰も同意や仲介の手助けをしなくなってしまう。わたしたちは仲介のため我が国の政治力やネットワークを駆使している。」と話した。ネットワーク作りの例として上げられるのはタリバンやハマスがカタールに設置した政治部門の事務所だ。カタールにはハマスの最高幹部、ハニーヤ氏も暮らしている。国際社会から「テロ組織」と呼ばれる組織とも積極的に関係を築いてきたことでカタールが仲介役として名をはせるようになったとアンサリ報道官は説明した。2017年にはサウジアラビアやUAEなどが対立するイランが支援する組織との関係などを理由にカタールと3年半にわたり国交を断絶した。このように時に一部の国から強い反発を招くこともある。カタール外交に詳しいジョージタウン大学カタール校のメーラン・カムラバ教授はカタールの仲介外交は積極的な情報発信や世界的なイベントの開催など様々な取り組みの一環だという。