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日本製鉄がUSスチールの買収計画を発表したのは、おととし12月だった。米国の鉄鋼業界の労働組合・USW(全米鉄鋼労働組合)は、直ちに非難する声明を発表。米国国内で反発が広がった。さらに、米国大統領選挙を巡る思惑も影響を与えた。USスチールが本社を置くペンシルベニア州は、選挙の勝敗の鍵を握る激戦州。トランプ氏、ハリス氏ともに労働組合や労働者の支持を獲得しようと、買収計画に対して厳しい姿勢を示してきた。日本製鉄は、買収の実現に向けて去年9月、計画を審査する米国政府の委員会に再申請。審査の判断は選挙後に持ち越された。去年11月の記者会見で、日本製鉄・森高弘副会長は“年内に買収を完了できる”という見方を示していた。しかし、その翌月にはトランプ氏が自身のSNSで“かつて偉大で強力だったUSスチールが、外国の企業、今回の場合は日本製鉄に買収されることに全面的に反対する”として、買収計画を阻止する考えを示した。また、バイデン大統領がこれまで繰り返し買収計画に否定的な考えを示す中、日本製鉄は審査を続けてきた米国政府の委員会から、買収を認めるかどうかの判断が大統領に委ねられたとの報告を受けたことを明らかにしていた。