NHKスペシャル 恐竜超世界3 化石の“常識”を覆せ!
岡山理科大学の辻極秀次さんは化石からたんぱく質を取り出す研究をしている。化石の中にたんぱく質などが残っているかは論争中。アミノ酸配列が分かると、上手くいけば軟組織の一部を再生することが可能になるかもしれないという。実は、辻極さんはもともと恐竜学者ではない。専門は骨。人の再生医療に長年取り組んでいて、骨の組織を詳しく分析することに情熱を注いでいる。辻極さんが研究を始めたきっかけは研究仲間から渡されたモンゴルの恐竜化石。異様な生々しさで、ついこの間まで生きていた動物の骨に見えたというのだ。辻極さんは今まで使ってきた研究手法が恐竜の化石にも使えるのではないかと考えた。手始めに行った実験は脱灰。骨からカルシウムを取り除き、残った物質を観察するというもの。その結果、何と化石の中から正体不明の柔らかい物質が出てきたのだ。辻極さんはたんぱく質を取り出したのではないかと考えた。しかし、恐竜の常識からいうと簡単には信じられない発言。なぜなら、恐竜化石は石だから。土に埋まった恐竜の骨は周りの水分や熱などによって中のたんぱく質がすべて分解されてしまい、カルシウムも別の鉱物に置き換わって石になってしまうとされているから。そのため、恐竜化石にたんぱく質が残っているという主張に反対する研究者も少なくない。しかし、辻極さんは化石の常識にとらわれず、自分の直感を信じることにした。そして、2020年7月、恐竜の化石からコラーゲンを抽出することに成功した。さらに、別の方法での検証実験も重ねた。そして、コラーゲンは外から混入したものではなく恐竜自身のものに違いないという確信に至った。