NHKニュース おはよう日本 (特集)
5年前、香港では自由や民主化を求める市民による抗議活動が続き、多いときには200万人が参加したともいわれている。しかし、その後、香港では反政府的な動きを取り締まる法律が施行されるなど、民主化を求める言論への締めつけが厳しくなっている。こうした中、声を上げることができない香港の人々の思いを伝えたいと、亡命した男性が製作した映画が公開され、日本でも反響を呼んでいる。5年前の香港での抗議活動を描いたドキュメンタリー映画「香港、裏切られた約束」は、最前線にいる市民の視点で、その闘いを90日にわたり記録している。日本での上映には連日、多くの人が訪れている。監督のトウィンクルンアンさんは3年前に香港を離れ英国に亡命し、この映画を製作した。ケーキ職人をするかたわら、映画界で働くことを目指して撮影や編集を学んでいた。買ったばかりのカメラで撮影したのが、抗議活動をする市民だった。そのさなか、催涙弾に当たり、若者に助けられた経験をきっかけに“自分が記録して伝えなければならない”と思うようになった。自由で多様な価値観を尊重する香港を守りたい。市民たちは、自身のアイデンティティーに目覚めていく。幼いころ家族と共に中国本土から移り住んだンアンさん自身にも、香港社会への帰属意識が芽生えた。抗議活動に参加した人の中には、逮捕され、今は声を上げることができない人が多くいる。ンアンさんは、この映画を世界各地で公開することで、香港の人々の声を伝えたいと考えている。ンアンさんは、日本に住む私たちに対して「日本には当たり前のように民主主義や言論の自由があるが、その権利をひとりひとりが大事にしてほしい」とも話していた。映画は現在、東京と京都で上映されているが、反響を受けて期間を延長して上映を続ける予定だという。