開運!なんでも鑑定団 (開運!なんでも鑑定団)
京都・祇園から。依頼主は「WINE BAR 玄」オーナー高山さん。18年前に開店。自慢はワインの品揃え。その数500本以上。オススメのワインはメナージュ・ア・トロワ シャルドネ 白ワイン。ワインに合わせた料理も高山さん自ら調理。この日、作ったのはローストビーフ。そして淡路島産の玉ねぎが入ったポテトサラダ。お宝は40年前に4500万円で購入した東山魁夷の絵。東山魁夷は心象風景を叙情豊かに描いた日本画家。1908年、横浜の生まれ。中学生時代に油絵に夢中になり洋画家を志すが厳格な父の助言により1926年に東京美術学校の日本画家に入学。在学中、帝展で2度の入選を果たすなど才能はずば抜けていた。1933年、ドイツへ留学し、ベルリン大学で美術史を学びながら、ヨーロッパの芸術や文化に触れ大いに刺激を受けた。1935年、帰国後、順風満帆に思われた画家人生だが過酷な試練が待っていた。母が病に倒れ、父が急逝した。そして太平洋戦争の最中、招集を受け熊本の部隊に配属される。そこで爆弾を抱え戦車へ突撃する訓練を受けた東山魁夷は絵の道を諦め死を覚悟したという。それでも終戦を迎えたが、母と弟が続けて病死。東山魁夷は悲しみと絶望の淵に突き落とされた。そんな失意の中、鹿野山に登った東山魁夷に天啓が訪れる。山頂から沈みゆく夕日を眺めていると自己も自然も共に無情の中で生きる一体のものであると実感するに至った。この経験を元に描いた残照は夕日に照らされた峰々を輪郭線を極力廃し、微妙にグラデーションを付けた色の面のみで表現されている。第3回 日展において特選に選ばれた。以降、東山魁夷は取り憑かれたように全国各地を旅し新しい風景画を模索する。そしてたどり着いたのが一本の道。戦後の日本画を代表する一枚と評価を得た。自然の中に身を置き風景と対話しながら何を省略し、何を残すかを熟考し明快な構図で書き上げられた東山魁夷の風景画は静謐で優麗であった。また親交のあった川端康成に勧められ古の都も描いている。詩情豊かな作品は多くの日本人の心を捉え東山魁夷は国民的画家となっていった。