- 出演者
- 石原さとみ
今回のテーマは「長引くせき」。街頭で調査すると気にせず放置する人が多数だったが、武川篤之さん(76)は呼吸できない猛烈なせきに襲われたという。病院で告げられたのは驚きの病名だった。
長引くせきに潜む病気が「ぜんそく」。子どもの病気と思われがちだが、推定患者数は1000万人と誰でもなる可能性があるという。患者の割合は子ども1:大人2、大人の患者の方が多く、中高年での発症も多い。過去5年間で2回以上せきが長引いた方々に集まってもらい、ぜんそくを調査。調査するのは数万人を診察してきた呼吸器内科医の熱田了さん。吐く息の成分でぜんそくの疑いが分かる「呼気NO測定装置」で調べると、ぜんそくの疑いがある人が続出、29人中11人が疑いアリとなった。「呼気NO測定装置」がスタジオに登場。なすなかにし&ヒコロヒーが測定した。息の中の一酸化窒素(NO)の量を測定し、多く含まれるとぜんそくの疑いがあるが、喫煙で数値が低くなる場合もあるので注意が必要だという。22を超えると疑いあり、37を超えると強い疑いありだったが、那須の数値は37ppb、中西の数値は52ppbだった。ぜんそくの推定患者1000万人のうち、治療している人は約185万人。約800万人は気づかず治療していない。治療しないと悪化する危険があるという。
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ぜんそくの見分け方を説明。一般的なかぜの原因は外から入ってきたウイルスなど。これを追い出すためにせきが出るため、ウイルスなどがいなくなれば症状は治まる。ぜんそくの場合は気管・気管支に炎症が起きてせきが出る。ぜんそくを引き起こす犯人が「好酸球」。白血球の一種で核のまわりに大量の顆粒を持っているのが特徴。健康を守るため、体に入ってきた寄生虫と戦う頑張り屋さんだが、暴走するとぜんそくの引き金になってしまうという。ほこりやカビなどのアレルギー物質などが体内に入ると、リンパ球が好酸球に助けを求め、好酸球が気道に出動するが、本来の敵・寄生虫ではないため攻撃しても倒せない。リンパ球からの要求が過剰になった結果、好酸球の暴走で起きる気道の炎症がぜんそくの始まり。正常な気道は薄いピンク色だが、ぜんそくの気道は炎症で真っ赤に腫れる。炎症が慢性化すると気道が敏感な状態となるため、ちょっとした刺激で過剰に反応していしまい、せき・たん・呼吸困難などの症状が起きる。かぜのウイルスと異なり、好酸球はいなくならないため、繰り返し症状が続く。ぜんそくを放置すると、たんの量が増え、気道に詰まる可能性もあるという。
ぜんそくで重要なのは早く気づいて治療を始めること。せきを見抜く秘策が「3」と「8」。せきは3週と8週を区切りに3つに分類される。最初3週間のせきはかぜ・感染症が約70%を占めるが、3週間を超えるとぜんそくが50%を占めるようになり、かぜなどの可能性は低くなっていく。検査でせきが続いた期間を聞くと、3週間以上と答えた人ばかりだった。日本喘息学会・理事長の東田有智さんがスタジオに登場、出演者を診断してもらった。朝晩にせきが出るのはぜんそくの特徴で中西はぜんそくの疑いがある。呼気NO検査では花粉症・鼻炎などで数値が上がる場合もあり、那須はその可能性があるという。たとえ軽症でもひとたび発作が起これば命に関わるケースもある。ぜんそくは誰でもなる可能性があり、かぜをきっかけに発症し、急に発作が起きる場合もある。症状には波があり、落ち着くとき、悪化するときがある。当てはまる人は呼吸器内科の受診がおすすめ。専門的な検査でぜんそくか診断を受けられる。詳しくは番組HPでも紹介している。
寺内則子さん(47)は20代の頃から長引くせきに苦しんできた。8週間以上のせきで「ぜんそく」と診断されて治療を始めると生活が一変。彼女を救ったのは吸入薬だった。2024年に改定されたガイドラインには「臨床的寛解」が記され、症状ゼロを目指せるようになったという。スタジオに主なぜんそくの吸入薬が登場。気管支拡張薬と抗炎症薬(ステロイド)の2種類があるが、ひとつのセットになり、より効果を発揮できるようになった。気管支拡張薬は狭くなった気管支を広げて、息苦しさを軽減・呼吸をしやすくする役割がある。抗炎症薬はぜんそくの根本的な原因“気道の炎症”を抑え、症状・発作の長期的な予防が役割。問題は吸入をサボりがちになってしまうこと。慢性疾患における薬の中断率の調査ではぜんそくが圧倒的に多かった。ガイドラインでは重症と診断されても50%ほどが1年以内にやめてしまうと指摘されている。勝手に薬をやめた経験がある皆さんに理由を聞くと、“治った”と勘違いしていたことがわかった。他にも面倒くさい・うっかり忘れるなどの理由があった。吸入薬を使うと、好酸球・リンパ球が大人しくなり、炎症も弱まり、症状も治まるため、治ったと勘違いしてしまうが、炎症はなかなか完全には消えず、気道の敏感な状態は続く。吸入薬を使い続けることで好酸球などが落ち着き、炎症も悪化しなくなるが、吸入薬を勝手にやめると好酸球が暴走状態となり、炎症が再び悪化してしまう。3カ月吸えば炎症はある程度治まるので、かかりつけ医と相談しながら吸っている量を減らしていく。
ぜんそくの治療を続ける秘策が「T」(Time)と「P」(Place)。長年にわたり患者に吸入忘れをなくす指導をしてきた市立大町総合病院の駒瀬裕子さんは(吸入する時間と場所を)自分で見つけることがすごく大事と語った。1日の行動を見直し、できそうな“時間”を考え、嫌でも目につく“場所”に置くことが重要だという。時間(Time)と場所(Place)を考える名付けてTP作戦。症状が改善すると吸入薬を使わなくなってしまうという八尋悟史さんに試してもらった。忘れがちな朝の吸入はすっきりした洗顔後と決め、洗顔料や歯ブラシなどよりも手前に吸入薬を置いた。かつてサボりがちだった皆さんもTPを意識することでせきに悩まず人生を謳歌できるようになったという。八尋さんもTP作戦で1か月の吸入継続に成功し、趣味の音楽ライブもせきに悩まず楽しめるようになった。
京都市の尾㘴奈保子さん(74)はぜんそくが重症化して3年間ほとんど外出できなかった。尾㘴さんを救ったのが最新の生物学的製剤。重症で吸入薬だけでは症状が抑えきれない人にも劇的な効果を発揮する可能性があり、重症患者でもおよそ3割が臨床的寛解を達成できたというデータもあるが、軽・中等症患者の場合、ほとんどは吸入薬で症状はゼロにできるという。尾㘴さんは「最後まで諦めないで下さい」と語った。喘息は症状ゼロが目指せる病気だが、吸入の方法が大切なので医師の指導が必要。吸入薬には多くの種類があり、操作が難しい・効果が薄い場合は医師に相談を。生物学的製剤は重症向けの薬で高額だが、保険適用により月数万円で利用できる。長引くせきにはぜんそく以外の病が潜む場合もあるため、早めに呼吸器内科を受診するのがおすすめ。
「NHK ONE」の告知。
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エンディング映像。
「あしたが変わるトリセツショー」の次回予告。