2023年7月3日放送 11:30 - 11:54 NHK総合

ひるまえほっと

出演者
古谷敏郎 中江有里 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像が流れた。

オープニングトーク

古谷さんは「7月に入りました。暑さに負けずに参りましょう!」と言った。きょうはブックレビューのコーナーのゲストに中江有里さんをお迎えする。中江さんは「読書するというのは一歩立ち止まるということでもある。忙しい世の中ですが、一歩立ち止まって読んでいただきたい本をお持ちしました」と話した。

視聴者からの写真

視聴者からの写真を紹介。東京・八王子のかーこさんより、アジサイの花とともに「雨と湿気にしんどいなぁと参っていたら、アジサイがハートを送ってくれてとっても爽やかな気分になりました」とのメッセージが届いた。

キーワード
アジサイ八王子(東京)
(気象情報)
気象情報

関東地方の天気予報を伝えた。

中江有里のブックレビュー
それ、おいくらですか?

きょうは「それ、おいくらですか?」のテーマに沿った4冊を紹介する。中江さんは「一見値段を聞いているように見えますが、普段私たちはそれがいくらなのか?とかどれくらいの数値なのか?ということで色々判断するじゃないですか。でも数値化出来ないものもあるんじゃないかな?ということを立ち止まって考えてみたい、そんな本です」と話した。

寂しさから290円儲ける方法

1冊目は「寂しさから290円設ける方法」(ドリアン助川著)。相談料290円で悩みを抱える人の話を聞き、おたすけ料理をこしらえて解決に導く男の連作短編小説。多種多様な人間模様が見える不思議な物語。著者のドリアン助川さんは歌手・詩人・ラジオパーソナリティなど多方面で活躍し、作家としても小説「あん」やエッセイ「線量計と奥の細道」など話題作を発表。明治学院大学教授でもある。小説は「おたすけブログ『麦わら料理』」というページから始まる。中江さんは「何か相談するにしたらちょっと安い気もするし、この値段でこのブログの文章を読んで相談する方はよほどお悩みがあって切羽詰まっている、というふうにも考えられると思う。悩みを寄せる人は、些細なものだけど本人にとってはとても深刻。麦わらさんが麦わら帽子をかぶって麦わら料理を持っていくっていう話なんです。ドリアン助川さんはこれまでの作品でも食べ物をたくさん描いてらっしゃるんですが、麦わらさん自体がドリアンさんみたいなイメージもある。麦わら料理というのは手の混んだ料理もあるし、現地で買い求めたようなお菓子もある。バラバラだけど、実は悩みを持っている方のために考えて持ってきた料理。それを悩みを聞いて一緒に食べるということで、それ自体が大切なんです。食は生きることの原点でもあるし、初対面の相手でも一緒に食事をすることによって心を開くきっかけのようなものも出てくる」などと話した。

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あんドリアン助川寂しさから290円儲ける方法明治学院大学産業編集センター線量計と奥の細道葛飾北斎[初代]

yuri’s Pointは「自分が主人公の物語を生きる」。様々な人の悩みに向き合う麦わらさんの言葉で中江さんが特に心に残った部分を朗読し、「詩を物語に置き換えても良いと思う。物語というか人生は不条理なことが多いし、悩みもかなりある。でもその中にブッツリと切れた中にも自分だけの物語を見出す。自分の人生は自分が主人公ですからね。自分が生きるためにどう捉えるかというのがとても大切。だから私も小説というのは物語を作っていく、それと結びつくなと思う。麦わらさんはなぜ人の悩みを聞くのか、『数値化出来ない』というのが人間の味わいなんだということを教えてもらった気がする」などと話した。

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寂しさから290円儲ける方法
それ、おいくらですか?

2冊目は「コメンテーター」(奥田英朗著)。直木賞を受賞した「空中ブランコ」を含む「精神科医・伊良部一郎」シリーズ17年ぶりの短編集。主人公・伊良部はじめ登場人物は全員強烈なキャラクター。表題作「コメンテーター」はワイドショーの低視聴率に悩むテレビ局員が伊良部医師と看護師をコメンテーターとして起用。すぐに視聴率が上がるが、過激な伊良部の発言に苦情が殺到する。批判覚悟で視聴率アップを望むか、視聴率はそこそこで視聴者の気持ちに沿う番組を作るのか。一喜一憂擦るスタッフに伊良部がかけたことばとは?他に株の売買をするトレーダーの心の病を描いた「うっかり億万長者」など、数字への恐怖観念に悩む人々を伊良部が救う姿がクセになる。

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うっかり億万長者コメンテーター奥田英朗文芸春秋直木三十五賞空中ブランコ

3冊目は「40歳だけど大人になりたい」(王谷晶著)。40歳を過ぎた著者が「大人になりたい」と願いながら「大人とは何なのか」を考えるエッセイ集。身体の衰え・お金の不安など、昔は知らなかった中年の現実の中、果たして自分は真の意味でおとなになったのか?と悩む。法的に成人とされる年齢を随分前に過ぎても「自分は大人だ!」と胸を張って言えないのは昔と変わらない自分がいるから。「大人らしい趣味とは何か」を考えたり、同世代と会うと話題になるのは健康問題という話から「あるある」と読み進め、読み手自身も「大人になりたい」という気持ちがあることに気づく。

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40歳だけど大人になりたい平凡社王谷晶
客観性の落とし穴

4冊目は「客観性の落とし穴」(村上靖彦著)。「エビデンスはあるんですか」「数字で示してもらえますか」など、客観性と数値を過度に信用する学生の姿に疑問をいだいた著者がその原因を探り、失われたものを明らかにする物語。著者は大阪大学大学院教授の村上靖彦さん。基礎精神病理学・精神分析学博士で、困窮した当事者やサポートする支援者の語りを聞き取り、分析するという方法で研究している。中江さんは「数字を気にするのは実際にそういう報道が多いからだと思う。何科紹介するときに『こういう数値が出ている』というと説得力が増すこともあると思うんです」などと話した。本の中には平均寿命の話も書かれている。厚生労働省が発表した日本の平均寿命は男性が81.49歳、女性が87.60歳。中江さんは「日本人って長生きだなと思うのと同時に、87.6歳まで生きるならこれからどうやって生活設計していこうかな?ってすぐに考えてしまう。だけど実際にこの歳まで今の状態で生きていけるのかなんて誰も保証できないし、健康なら良いけどもしかしたら病気になっているかもしれないし、そういうことを考えると、単純に87.6歳まで自分が生きるかなんてわからない。そこには文化的な部分とかも抜け落ちている」などと話した。

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厚生労働省大阪大学客観性の落とし穴村上靖彦筑摩書房

yuri’s Pointは「一人ひとりの声を聞く」。著者・村上さんは「一人ひとりの苦労の経験は、科学的な客観性に回収することが出来ない。だから個別の苦労をそのまま尊重し描き出すことには意味がある」と綴っている。中江さんは「データはすごく大事なものだけど、そればっかりを重視してしまうと一人ひとりの事情が抜け落ちてしまって、結果的に何を見ているのかわからなくなってしまう。そこを危惧されているんだと思う。数値を頼りにするあまり、私たち一人ひとりの事情や声みたいなものが抜け落ちてしまうと、結果的に自分の幸せというのが、世間一般に言われているものとまた違うのかもしれない。でもそれを考えることすらなくなってしまう。この本を読みながら私にとって数値とは別に自分がこうありたいなどと思っていることを忘れちゃいけないと思った」などと話した。

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客観性の落とし穴村上靖彦
視聴者からのお便り

視聴者からのお便りを紹介。東京都・中根智子さんからは「私を励ましてくれた1冊は吉本ばななさんの『ハネムーン』。主人公とパートナーが自分たちの置かれた複雑な環境に傷つきながらも支え合う物語。大切な人たちの心を守りながら自然体で生きる大切さを教えてもらい、私の心の拠り所となりました」とのメッセージが届いた。2つ目は茨城県・横井正子さんから「最近読んで励まされたのは内館牧子さんの『老害の人』。私は夫と2人で趣味を中心に生活しているので、老害とは遠いと思っていますが、この本を読むとそうではないのかもしれません。ひとりよがりを避けて生ききりたいです」とのメッセージが届いた。中江さんは「主観と客観の両方を自分でバランスをとって見ることができるのも読書の良さですよね」とコメントした。「中江有里のブックレビュー」にてお便り募集中。

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NHK首都圏ナビハネムーン内館牧子吉本ばなな老害の人
かんたんごはん
さば缶の冷やし中華 ごましょうゆだれ

「さば缶の冷やし中華 ゴマしょうゆだれ」のレシピを紹介。さばの水煮缶の水気を切り、麺と絡みやすいよう軽くほぐしておく。ツナ缶・サラダチキンなどで代用も可能。塩蔵ワカメを10分ほど水に浸けてから水を換え、さらに10分ほど浸けて戻す。水気を絞って食べやすくカットする。ネギを小口切りにし、水にさらしてほぐす(みょうがでも可)。シャキッとしたら水気を切って軽く絞っておく。続いてタレ作り。醤油・酢・ゴマ油・白すりごまをしっかり混ぜ合わせる。麺は中華麺を手でほぐしながら茹でる。茹で上がったら湯を切り、すぐに冷水をかける。粗熱が取れたら氷水で締める。しっかり水気をしぼるように切り、具材をトッピングしてタレをかければ「さば缶の冷やし中華 ゴマしょうゆだれ」の完成。

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NHK首都圏ナビさば缶の冷やし中華 ゴマしょうゆだれみょうがわかめネギ
(エンディング)
エンディングトーク

古谷さんは「夏の暑い時期、この一品!というと何ですか?」と聞くと、中江さんは「私はかき氷です。現代のかき氷はフルーツがたんまり乗っかってるんですよ。昔みたいにシンプルなのも良いんですが、フルーツたっぷりなのも食べごたえがあって美味しいんですよ」と答えた。

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かき氷

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