- 出演者
- 岩渕梢
政治資金問題に揺れた通常国会が先月、閉会した。岸田総理大臣は就任してから1000日を超えた。曽我英弘解説委員が解説。政権への国民の支持は、発足後最低レベルが続いており、9月の総裁選挙に向けた自民党内の動きが活発になりつつある。今後の政治の行方を今月のNHK世論調査から展望。内閣支持率は今月25%。先月から4ポイント上がったものの、発足当初の49%から半分近くに減らしている。一方、「支持しない」は57%と3ポイント下がった。また、支持しない理由として「政策に期待が持てない」は43%、「実行力がない」は24%と岸田総理の指導力に、国民の厳しい目が向けられている。政党支持率:自民党28.4%、立憲民主党5.2%、日本維新の会3.6%、公明党3.1%、共産党2.6%、国民民主党2.1%、れいわ新選組0.8%、特になし47.2%。自民党は東京都知事選挙では支援した小池氏が当選したが、都議会議員の補欠選挙は2勝6敗に終わった。また、立憲民主党も蓮舫氏が3位。都議選も1勝と伸び悩んだ。一方で政党の支援を受けない石丸氏が2位に躍り出たことを考えれば、既成政党に対する国民の強い不信感がうかがえる。自民党内には、総裁選挙で若手が立候補して活発な議論を行い、岸田総理に代わる新しい総裁を選出すれば流れが変わるのではないか、支持が回復するのではないかと期待する声があるのも事実。安倍内閣支持率、岸田内閣支持率、菅内閣支持率のグラフ。現在の自民党の支持率は、今月多少回復はしたが、今年3月以降5か月連続で30%を割り込んだまま。
曽我英弘解説委員が解説。岸田総理は先月下旬、総裁選への対応を問われ「先送りできない課題に取り組み結果を出す。これ以外は考えていない」と明言は避けながらも再選に強い意欲を持つと見られる。また、「国民の最大の関心事項は経済、物価、賃金にある」として、生活支援に全力を挙げる考えを明らかにしている。政府は電気やガス料金への補助を8月から3か月追加で実施するとともに、秋以降年金生活者や低所得者世帯を対象に給付を行うとしている。これを「評価する」という人は「大いに」、「ある程度」を合わせて48%。「評価しない」は、「あまり」、「全く」を合わせて46%と見方が分かれている。経済産業省によると8月と9月の使用分は補助を手厚くし、標準的な家庭の場合、電気、ガス合わせて月額2125円の負担減になるとしていて、物価高で家計が苦しい中で助かると歓迎する声がある。一方で、市場原理をゆがめ脱炭素の取り組みにも逆行する点、また打ち切りから1か月もたたないうちに補助の復活を決めたのは人気取りが狙いではないかと一部に受け止められているのではないか。また政治とカネの問題を巡っても岸田政権は、先の国会で成立した改正政治資金規正法で検討事項とされた政策活動費の透明性の強化、また、支出をチェックする第三者機関の具体化を急ぐことにしている。ただ今回の法改正再発防止に効果があると考える国民は、3割にも満たない状況。国民の政治不信を真正面から受け止め、その場しのぎではなくて将来にわたって国民生活に資する政策を進められるかどうかが問われている。
曽我英弘解説委員が解説。NHK世論調査で衆院総選挙をいつ行うべきかどうか聞いたところ、「年内」は43%、「来年の早い時期」は17%、「来年10月の任期満了近く」は28%だった。9月の自民党総裁選の結果次第では時を置かずに解散総選挙が行われる可能性もある。また、同じ時期には立憲民主党の代表選挙も予定され泉代表のもとで次の選挙を戦うかどうかも焦点となる。そして今月全体の5割近くにまで迫ったいわゆる無党派層の増加傾向が今後も続くのかどうか。それとも、与野党のどちらかが支持を得られるかどうか。これらが、政治を大きく左右することになりそう。
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